石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


※親サイトの『7年半ぶっ通しチャリ世界一周』はパソコンを新しくしたためにストップしたままです。
近況報告や各種案内は、もうしばらく、当ブログにて行います。
使い捨て湯たんぽ
4日前の読売新聞のコラムに湯たんぽのことが書かれていた。よく売れているらしい。異常寒波や灯油高騰などの要因が考えられるが、「安眠できる」などの健康面でも見直されているからではないか――とある。

読んだあと、ぼくの頭は湯たんぽで占められた。原稿を書いているときもメシを食べているときも頭の上には漫画の吹きだしのような雲が浮かび、その中で湯たんぽがふわふわ揺れている。

なぜこの方法を思いつかなかったのだろう、と自分の愚かさを恥じた。
家は暖房をつけない上に電気毛布の類もないので、夜、床にもぐると身が引き締まるほど布団が冷たい。しかし就寝の少し前に湯たんぽを布団に入れておけば、そのわびしさも簡単に解決するではないか。
湯たんぽ――ああ!言葉の音からしてなんて魅惑的なアイテム!

ついに我慢が限界に達し、部屋を飛び出して西友に向かった。
ところがどこを探しても湯たんぽの姿がない。店員に聞いてみると、「品切れ状態がずっと続いて、いつ入ってくるかわかんないんですよ」と非常に申し訳なさそうな顔で言った。うわ、本当に売れてるんだ。

それから数日は寒さがゆるんだので、ぼくの「湯たんぽ熱」も下がった。しかし昨日から再び寒さが戻ってきた。手に入らないだけに湯たんぽが余計に気になる。身をよじって悶々としていると、いいことを思いついた。ペットボトルで代用すればいいのだ。

2リットルの水の角型ペットボトルに恐る恐る熱湯を注いでみる。と、突然、角型の透明な容器は「ボコン」とふくらみ、丸いボトルに変形した。不安になったが、しかし万が一寝ているときにボトルが割れて水浸しになっても大丈夫だ。ぼくには寝袋がある。

それを布団の腰のあたりに仕込み、20分ほどしてから布団に潜った。うほっ、気持ちいい〜! 電気なんかと違って温もりが柔らかい。熱だけではなく「愛情」が布団にこもったかのようだ。
あまりの気持ちよさに、その日の「寝床読書」は2ページしか進まず、知らない間に熟睡してしまった。翌朝、驚いたことに、ペットボトルはまだホカホカ温かかった。4時間しか寝ていないということもあるだろうけど……。
その水を洗面器にあけ、顔を洗う。うむ、充実した1日の始まりだ!

ということで、すっかりハマってしまった。
今日も寝床に入る瞬間のことを考えるとそれだけでワクワクする。なんという小市民だろう。

しかしこの「ペットボトル湯たんぽ」、あと何回持つかな?

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失われていくもの


昨日の読売新聞にちょっとショックな記事があった。
ニコンがフィルムカメラの製造を大幅に削減するらしい。デジタルカメラに経営資源を集中させるためだ。

具体的にいうと、入門機のFM10とプロ用のF6だけを残して、あとの6機種、および専用レンズは生産をやめるとのこと。

ぼくは旅ではニコンFM2を使っていた。ペルーで強盗に身包みはがされたときは同社のFM10を現地で買ったが(ペルーではFM2のボディが14万円もしたのだ!)、途中で壊れたのでけっきょくまたFM2を購入した。

FM2は完全マニュアルのカメラだ。ピントも露出もすべて自分で調節しなければならない。だけど構造が単純な分、写真の基本的なことを体で覚えることができる。それに、なんといっても「機械式」のシャッターがいい。バネだけでシャッターが駆動するので電池がなくても写真が撮れる。すべてにおいてシンプルなカメラで、そのぶん頑丈というわけだ。常に振動がともなう自転車旅行などにはうってつけなのである。

ひと昔前、一眼レフカメラ業界全体が全自動オートフォーカス式に移行していたときも、ニコンはこういったシブい手動式カメラを作り続けていた。職人気質の強いメーカーだという印象があった。それだけに今回の決定には驚くと同時になんだか寂しいものを覚えた。企業として経営効率を優先するのは仕方がないにしても、あまりにバッサリと切りすぎだという印象が否めない。自分が考えていた時代の変容と、実際のそれとにはまだまだ大きなギャップがあるようだ。

仕事用にと、昨年末にデジタル一眼カメラを買った。しかしどうもなじめない。昔、ニコンFM2を買ったときのような高揚感がない。オヤジ化している証拠かもしれないが、しかしぼくがここで書きたいのは、1月6日の「炊飯器」や1月11日の「旅用の自転車」などのエッセイに込めたものと同様の思いだ。つまり、シンプルで頑健なものほど「道具」に対する愛着がわくということ。少なくともぼくは。

「機械式」のシャッターはカシャンという音がいい。小気味よく、心に響く。

年末に買ったデジタル一眼は、購入から2週間以上経つというのに、まだ箱から一度も出していなかったりする。

| アイテム |
寒さ対策
ぼくの部屋の暖房はかなり気まぐれだ。
機嫌が悪いときは、どういうわけかまったく温かくならない。
しかたがないので、ときどき部屋の中でもマフラーを巻いて原稿を書いている。
「こんなことをしてちゃダメだ」と、あるとき思った。
そこでニューアイテムを購入した。
温度計だ。
トイレに置いてみたのだが、これがけっこうおもしろい。用もないのにトイレに入って温度をチェックしてしまう。朝方など6度ぐらいまで下がり、おお……と感動する。室内で6度いうのはけっこうなものだ。

しかしさすがに「こんなことをしてちゃ本当にダメだ」と思った。
そこでニューアイテムを購入した。
使い捨てカイロだ。キャラクターのプリントされたやつ。

うそ。これは冗談。
本当はカーボンヒーター。
聞きなれない方も多いと思う。ぼくも家電屋さんに行ってはじめて知った。
見た目は昔からある「電気ストーブ」だが、電熱管の部分に黒い炭素繊維が入っている。これにより遠赤外線が出て、体の芯までポカポカ温めてくれる。

実際、電気屋さんで比較してみると、たしかにハロゲンヒーターよりもずっと温かい。電気屋さん曰く、
電気ストーブ<ハロゲンヒーター<カーボンヒーター
という順で温かくなるらしい。

店に置いている商品の中から一番小さいカーボンヒーターを買った。A4の紙よりちょっと大きいぐらいのサイズだ。これをパソコン机の下に置き、足元を攻める。
いやーすごい。
こんなに小さいのに体が本当に温まる。暖房のスイッチを入れることがほとんどなくなった。

カーボンストーブには2本の電熱管があり、両方つけると600ワット。しかし片方だけ、300ワットで十分。ちなみに暖房は770ワットなので、消費電力は半分以下になった。
うーん、俺って地球に優しい。
想くんには絶対勝てないけど……(→1月9日のエッセイ)。

| アイテム |
マイコン制御の炊飯ジャー
先日、買う気もないのにヨドバシの炊飯ジャー売り場を冷やかしてみて、唖然となった。ほとんどの炊飯器が1万5千円〜3万円ぐらいするではないか。なんでそんなに高いんじゃ。
炊飯器にはソフトタッチ式のボタンがたくさん並んでいる。いろんな機能があるらしい。かーっ、あほくさい! 炊飯器なんて「炊く」「保温」のふたつがあればええやないか。百歩ゆずって「タイマー」があれば十分じゃ。

いちばん安いのでだいたい6千円(うろ覚え)。驚いたことにその炊飯器にさえもソフトタッチ式のボタンとデジタル表示のタイマーがついている。ぼくが長年愛用しているアナログ式の炊飯器――ガチャンと音の鳴る炊飯スイッチと、ダイヤル式のタイマーのついたやつ――はひとつもなかった。

今、ぼくが住んでいる部屋の家具のほとんどは学生時代から使っているものだ。旅に出る前に実家に送り返して物置に積み上げておいた。
なぜ処分しなかったか、答えは簡単。
使えるからだ。

洗濯機だけはサラリーマンになってから買った(学生時代は下宿先に洗濯機があったのだ)。ぼくの持っている家電の中でいちばん新しいものだ。そしてこれがぼくにとって初めてソフトタッチ式のボタンのついた家電だった。

7年半後、旅を終えて帰ってきた。それから実家で2年半過ごしたあと、東京に拠点を構えることになった。そのとき家電をすべて点検した。なにせ10年以上も使っていないのだ。

炊飯器も掃除機もテレビもドライヤーもすべて正常に動き、むしろびっくりした。ところが洗濯機だけ、コンセントを入れた途端、ガタンとひと揺れした後、こときれた。それからはなにをやってもうんともすんともいわなくなった。

近所の電気屋さんに見てもらったところ、どうやらソフトタッチ式ボタンの下に入っているマイコンが壊れているのだろうとのこと。このタイプはすべてマイコン制御になっているので、これが壊れると使い物にならない、マイコンの部分を交換しようにも型が古くなっているので、在庫はもうないだろう。電気屋さんは申し訳なさそうな顔でそう言った。

ぼくの持っている家電の中でいちばん新しい洗濯機が10年で風化して単なる粗大ゴミと化し、それより5年も古い電化製品が元気だったのだ。東京に来て8ヶ月過ぎた今も、それらは故障ひとつせず動いている。

便利さとスマートさを求める人たちのためにソフトタッチ式、マイコン制御の炊飯器があってもいい。
でもなぜ、「炊く」と「保温」だけで事足りる炊飯器にアナログ式のものがひとつもないんだ??
炊飯器に最先端の技術が本当に必要なのか??

ドラえもんが未来の発明品を出すたびに子ども心に抱いていた疑問が再び浮かんだ。
「それは本当にのび太のためになるのか?」


本当は違うことを書くつもりだったのに、まったく別の話になってしまった……。

| アイテム |
ぼくのパソコン
ノート型パソコンで原稿を書いている。
世界一周旅行から帰ってすぐに買ったパソコンだ。
和歌山の実家にゴールする直前に大阪のヨドバシで、「展示品」を15万円で買った。商品の内容を考えると破格に安い値段だったが、それまで中国のシルクロードを走りながら150円の宿に泊まり、30円のラーメンを食べ、30円のビールを飲む生活をしていたぼくにとってはまさに清水の舞台から飛び降りるような買い物だった。原稿料や印税でメシを食う、という安定要素ゼロの生活に飛び込む出資金のようなものだったわけだが、15万円という、ここしばらく見たこともなかった大金を店員に渡すときはやけにペシミスティックになり、「どうせ無用の長物になるんじゃねえの」とため息をついた。

でも、みなさんのご支持と、寛大な編集者のおかげでパソコンはぼくにとってなくてはならないものになりました。改めて感謝、です。

ということで、当初の予想とは裏腹にパソコンはかなりハードに使っている。ミクシィとかブログとかネットショッピングなどはしていない(オークションはちょっとだけした(笑)。ブログもそのうちするかも・・・)が、それでもほとんど1日中パソコンを起動させている。そのうえ出張のたびに持ち運んでいる。そんな生活を3年続けると、さすがにパソコンにガタが来た。アイポッドとパソコンをつなぎ、音楽を録音していると、10曲目ぐらいで「パシャーン!」とパソコンが落ちる。写真を高画像でスキャンしても途中で「パシャーン!」。

ぼくのようなハードユーザーにはやはり「展示品」はよくないのだ。何ヶ月も店頭で電源を入れっぱなし、客に触られっぱなしだったわけだから。
2年前にはすでに「バッドクラスター」が出た。ハードディスクに入った傷のことらしい。だから、いつ壊れてもいいように常にCDにデータを保存しながら、恐る恐る使ってきた。
講演ではパソコンを使ってスライドショーをするのだが、講演会場にこのオンボロパソコンを持っていき、電源を入れるときは心中、手を合わせている。見事起動したときはフィギュアスケートの村主章枝のように「神様ありがとう」とつぶやいている。

ということで、さすがに新しいのを買うことにした。

別にドラマチックな話でもないのに、長くなったし、これから飲みに行くのでので、つづく……。
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『地図を破って行ってやれ!』文庫改訂版出ました。
2016年8月発売。幻冬舎刊。650円(+税)。アホな日本紀行です。単行本をすべて書き直しました。感想いただけると嬉しいです→ yusukejitensha@yahoo.co.jp
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