『ファウンダー』という映画を観てきた。
副題は『ハンバーガー帝国のヒミツ』
マクドナルド兄弟が始めたハンバーガーショップを
事業家のレイ・クロックが、いかに乗っ取り、
悪びれもせず「ファウンダー=創業者」を名乗り、
世界中に広げたか、という物語。
レイがマクドナルド兄弟の店を知る経緯や、
兄弟が現在のファストフード店すべてに通じるシステムを
構築する過程が実におもしろい。
その後の展開にも唸らされた。
資本主義の光と影が絶妙に描かれている。
「創始者」であるマクドナルド兄弟は意外にも品質本位で、
事業拡大にのみ邁進するレイ・クロックとは
すぐにぶつかり合ったらしい。
レイが兄弟に言い放つ言葉が凄まじい。
「溺れている者がいれば、
その口にホースを突っ込んで、水を浴びせる。
お前らにそれができるか?」
史実ではないと思うが、映画の中では
実際こういうことを言いそうな男としてレイを描いている。
それでも極悪人にしていないのは見事なバランス。
レイは資本主義のメタファーだが、
良いか悪いかという問題ではない。
ただ、同社の利益の出し方がちょっと意外で、
えげつなさはどうしても感じる。
マクドナルドがこの映画を
一切サポートしていないのは当然だろう。
その帰り道、一駅手前の高円寺で降りて、
映画の世界とは真逆の店に入った。
先日、偶然見かけた店である。
「なんや、こんな近くにあったんか!」
と心中叫んでしまった。
というのも、以前、笛吹の想くんと高田馬場で
戦前からあるようなあんみつ屋に入ったのだが、
その店が最高だったのだ。
お婆さんは漫画のキャラクターのように
手をブルブル震わせながら
あんみつを運んできてくれたのだが、
寒天のキリリとしたエッジの立ち方、冷え方、
全体のバランス、どれもこれもが完璧で、
人生史上一番のあんみつに即座に認定された。
ところがその数か月後、その店に行ってみると、
なんと閉店していたのだ。
あまりのショックに、店の前でしばらく立ち尽くしてしまった。
それ以来、あのレベルのあんみつを求め、
果てしない旅が続いたのだが、その約7年後、
とうとう同系の店を見つけたのである。隣町に(笑)。
そのときは時間がなかったので、立ち寄れず、
日を置いて今回、初訪問となった。
このサンプルと値段を、クリック拡大して見てほしい。
今は本当に平成なのか?
クリームあんみつはだいたい600〜800円ぐらいするが、
この店は450円!
さらに甘味処なのになぜか中華そばやカレーまであって、
それぞれ450円に500円。
で、まずは中華そばから。
爺ちゃんが作る中華そばの麺は安定の柔らかさ。
でもこれはこれでうまい。これなんだよ、ラーメンは。
凝ったことせずに普通にやれば普通においしいんだから。
で、本命のクリームあんみつ。
食べてみるとやっぱり大当たり。
あんこもきちんと手作りで、
小豆の粒が立っていて、うまいことうまいこと。
気取った店の800円のあんみつより、
こういう店の450円のあんみつのほうがずっとうまい。
お爺ちゃん、チェーン展開しませんか?