我が郷里、和歌山県太地町を舞台にした映画
『おクジラさま〜ふたつの正義の物語〜』を観た。
捕鯨問題を扱った映画は例のアカデミー賞をとった
『コーブ』が有名だが、
あれはドキュメンタリーと呼んでいいものかどうか。
手段のためにはなんでもありといった映画で、
太地町をことのほか不気味に描く導入部など、
最初は笑って観ていたが、
被害者面して"彼らの正義"を訴える姿を観ているうちに
だんだん胸糞が悪くなった。
今回観た『おクジラさま』は、捕鯨について、
「伝統文化だから反対される筋合いはない」派、ならびに
「クジラやイルカは高等だから反対」派、および
その他もろもろ多くの意見に耳を傾け、
問題の本質をえぐりだそうとしている。
もっとも、答えなどはハナからなく、
提示されたファクトを個々で整理し、
個々の胸で考えるしかない。
実は監督の佐々木芽生さんとは数日前にある会でお会いし、
彼女が『ハーブ&ドロシー』を撮った方だと聞いて驚いた。
アートからなぜ捕鯨問題? と思ったわけだが、
今作を観てようやく腑に落ちた。
捕鯨問題は環境問題だけにあらず、
さまざまな問題を象徴的に内包している。
人の世を映す鏡のように非常に普遍的なのだ。
難しい問題だが、映画は難解さとは無縁で、
非常に分かりやすく提示してくれるし、
何より、おもしろい人間が次々に登場するので
グイグイ引き込まれる。
場内では何度も笑いが起こっていた。
あと、太地町に行ったことのない人は、
この映画を観ると驚くんじゃないだろうか。
実は僕も驚いた(笑)。
今も世界中から活動家たちが
あの小さな町に押し寄せているのだろうか?
今度帰省したとき見にいってみよう。
『おクジラさま〜ふたつの正義の物語〜』は現在公開中。
東京では渋谷ユーロスペースで今月13日(金)まで。
(延長される可能性あり。映画館に聞いてください)
さ、寝よう。
明日は朝から長野に稲刈りだ。