『ペンタゴン・ペーパーズ』を鑑賞。
いや、これはめっちゃお勧めですよ。
ベトナム戦争に関する極秘文書を
ワシントンポスト紙が手に入れ、
さあ、それを載せようか、ってところで
社主のメリル・ストリープが躊躇します。
アメリカの世論をひっくり返すようなスクープは
機密漏洩の罪にもあたり、
また国家の安全保障に深刻な影響を与えるとして、
下手をすると会社存続の危機に陥り、
社員を路頭に迷わせることになるかもしれない。
それに政界にはたくさんの友人がいて、
彼らを窮地に追い込むことにもなる。
そのメリル・ストリープと対峙するのが、
編集主幹のトム・ハンクスで、
言論の自由と国民の知る権利を守らなくて
何がメディアだ、とまったくブレることがない。
さあ、メリル・ストリープはどんな決断を下すか。
(このときの彼女の演技がすごい!)
というのが大筋で、話はシンプルかつ地味だけど、
見事な演出とふたりの名優の演技によって、
最高にドラマチックでワクワクする映画になっています。
監督のスピルバーグは脚本を読んだとき、
いま撮るべき映画だと考え、
予定を前倒しして9ヵ月で撮りきったとか。
言わずもがな、自分に不都合なメディアを
「フェイクだ!」とぶった切る大統領が生まれる
昨今の情勢を危惧してのことでしょうが、
公文書が政権に都合のいい形に改竄されるという
異常事態が起こってしまう
日本のいまとも見事にリンクしていて、
震える思いで観ていました。
野党の力不足もあって、
前代未聞の文書改竄問題がなんかこのまま
収束しそうな気配があるけれど、
ま、そのあたりのことや、
最新の「報道の自由度ランキング」では
日本が72位といったことなどを念頭に
この映画を観ると熱くなれますよ。
スピルバーグが「いま撮るべき映画」と考えたように、
これはまさに「いま観るべき映画」かと。