2017.03.14 Tuesday
吐夢という夢空間の火が消えました
おっさん5人の伊豆旅行のあと、
家に荷物を放り投げて、
ジャズバー吐夢に行った。
あ、その前にWBCのオランダ戦もちょっと観たけど。
その後、あんなすごい試合になるなんてのぅ。かぁ。
でもま、この日は吐夢のほうが大事なのだ。
2017年3月12日、
吐夢はその40年の幕を閉じる。
予想はしていたけれど、
店内は客でごった返し、
座る場所もなかった。
みんな愁いを含んだいい顔で飲んでいる。
僕と吐夢の付き合いは10年ちょいだが、
20年も30年も前にここで
青春を送った人々がいる。
セピア色に包まれた吐夢で
彼らの話を聞いていると、
今がいつなのかわからなくなった。
「吐夢と同時代を生きた」
「デートでよく来た」
「こんなことならもっと来るんだった」
「20年前を見ているようだ。
週末はいつもこんな風に混んでいた」
それぞれの人生の断片が
この空間には詰まっているんだな、
とあらためて思う。
吐夢の空気がやわらかいのは
そのせいだろう。
即興ライブをやった。
アップテンポで陽気ながらも哀調を帯びた音が、
この日にとてもよく合った。
客が踊るところもまるでアイルランド。
吐夢と和子さん、長いあいだお疲れさま。
これまで本当にありがとう。
阿佐ヶ谷の宝でした。
僕の心に大切にしまいます。
きっとたくさんの人の心に
大事に大事にしまわれるでしょう。
だから吐夢の黄色い光と、
レコードのやわらかい音は、
いつまでもそこにあり続けます。
僕の大好きだった吐夢のトイレ