石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


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秘境釣行記

昨日も書いたように、

今月のビーパルの特集は

「日本の新しい秘境」だ。

 

僕は広島の奥地を担当したのだが、

その記事の書き出しは、

「この企画は無理があるでしょ、ハハ」

と苦笑するシーンである。

だってそりゃそうでしょ。

この情報化社会、いたるところに手垢がついてしまって、

日本はおろか、世界を見渡しても

本当の秘境なんてもうどこにもないのではないか。

 

だから8人の担当ライター全員が

僕と同じような書き出しで始めるんじゃないか、

と心配していたのだが、まったくの杞憂だった(笑)。

 

それはともかく、秘境について考えていたら、

くしくも『秘境釣行記』という本がとある筋からまわってきた。

その方はかなりの読書家なのだが、

この本は「人生ベスト10」の1冊なのだという。

昔読んで、どうにも忘れがたく、

たまたまアマゾンで探したら古本で見つけたので

購入したのだとか。

 

読んでみたら、僕もやはり夢中になって一気に読了した。

いやはやとてつもない世界である。

舞台は北海道の日高地方。時代は昭和のはじめころ。

著者である今野保氏は、

炭焼き業を営む家に生まれた。

家業がそれだから、

当然一家は人の少ない山奥に住む。

そこからさらに奥地へと分け入り、

ヤマメやイワナを1日100匹とか釣りまくるのである。

ヤマメだと尺(30僉砲鷲當漫

ときには40僂魃曚溝臺まで、

イワナだと70僖ーバーなんかも。

すぐに魚籠(びく)が重くなるので、

河原に魚を埋めながら釣り上がっていき、

帰るころにそれらを拾って帰るのだとか。なんだそれ?

 

さらに戦争で軍に徴集された今野氏は

派遣先の激戦地、

ノモンハン(中国とモンゴルの国境付近)で

上官の目を盗み、川で釣りをするのだが、

目測2m30cmほどのイトウがかかる。

川に引き込まれそうになったので、

馬の鞍に糸をくくりつけて馬を走らせ、

釣り上げようとするのだが、

結局、糸が切れたか針が外れたかでバレてしまう。

本を読みながら

さすがにこれはホラではないかと思ったのだが、

さらに記述は続いていて、

別の日、上官たちともう一度その川に行き、

ある方法で捕獲を試みたら、

なんと2m前後のイトウが6匹もとれたそうだ。

メジャーで計ったら、一番大きいイトウは

体長2m80僂如胴回りが2mだったとか。

そういう話が、静かな筆致で、

小説のように語られているのである。

おもしろくないわけがない。

(専門用語が多いので釣りをしない人には勧めないが)

 

この本の「あとがき」がまた素敵だった。

 

今はもうどこにも見られない、

川というものの本来の姿を知るためのよすがとして、

あるいは、自然が自然であった時代の

奥地の様相を伝える頼りとして、

本書が多くの人の目に触れ、

心に染むものがあれば幸いである。

 

人生、同じ80年という時間を生きるなら、

いつがいいか、と詮無いことをちょっと考えてしまった。

いたるところ”秘境”だらけだった時代は、

やっぱりどうしても輝いて見えてしまう。

 

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