樋田容疑者の自転車と装備を見てどう思うか?
というコメントを出版社や放送局から求められたので、
「逃げているというより
旅を楽しんでいるように見える」
とそっちょくに思ったことを言い、
そのことを昨日ここにも書いた。
その後、いろんな情報が出てきた。
日本一周中と吹聴したり、大胆にも撮影に応じたり、
とまあナメたことをしていたようで、
やっぱり俺の直感は正しかったのだ、
などと僕もいい気なことを思ったのだが、
ふとあることが気になり、調べてみたら、
おい! とツッコミたくなった。
彼が逮捕された道の駅「サザンセトとうわ」の場所だ。
僕はこのあたりの地理に暗いため、
調べるまでピンと来なかったのだが、
こんな場所にあるのだ。
(クリックすれば拡大します)
街道からだいぶ逸れた島の先のほうである。
大荷物を積んだ鈍足のクロスバイク
(樋田容疑者が乗っていた自転車)
でわざわざ行くにはかなり面倒な、
言い方を換えれば相当酔狂な場所だ。
やっぱりこいつ、のんきに旅を楽しんでいたな、
という思いがますます強くなったのだが、
ふと、待てよ、と思い直した。
イチ自転車旅行者として、
旅しているときの感覚をいえば、
よっぽど強く惹きつけられるもの、
たとえばこの島に対する思い入れや、
絶景や激ウマメシなんかがなければ、
こういうところにはなかなか足が向かない。
(軽快なロードバイクなら別だが)
そこまで考えたとき、
そうか、あったのだ、と思った。
樋田容疑者にとっては。
土地の名物を地元の人に聞いて食べたり、
(そういうことをしていたらしい)
釣りをしたり、写真撮影に応じたり、
走った県に色を塗ったり、
そうやって自転車旅の楽しさを
感じ始めていたかもしれないこの男が、
しかし心の奥底で求めていたもの、
それは監視の目がゆるく、おっとりした空気が流れ、
気分が楽になれる、島の「のどかさ」ではなかったか。
そういえば、リンゼイさんを殺害した市橋達也も
南の島に潜伏していたよなあ。