台湾から東京に帰った翌日は
日帰りで福岡へ。
アホな動線である。
福岡で講演したあとは、
飛行機を1本遅らせ、
博多ラーメンを食べにいった。
某クチコミサイトでやたらと評価の高い店だ。
ラーメンほど好みがわかれる料理もないと思うが、
ネットで高評価の店は僕にはどうも合わない。
塩辛くて脂がギトギトで、
パンチの強さでごまかしているだけ、
と感じる店が多い。
博多もその例に当てはまるのかどうか。
それともたまにある”例外”の店か。さあ勝負。
15時という時間だったのに
店の前には長い行列ができていた。
でも博多ラーメンは麺が細いので回転が速い。
20分ほどで店の中に入ると、
「しゃっせー! しゃっせー!(いらっしゃいませ)」
若い店員たちが大声で叫んでいる。
ますます僕の好みじゃなさそうだな、
と期待がどんどん高まってきた。
で、現れたラーメンがこれ。
うーん、予想通り。なんだろう、この泡は。
でもあんなに人が並ぶぐらいだから、
もしかしたら今回はうまいかもしれない、
といつものように淡い期待を抱きながら食べてみると、
純粋に驚いた。
「なんでこのラーメンに行列が?」
塩を入れ間違えたのかと本気で疑うぐらい塩辛くて
脂ギトギトのスープはポタージュのようにドロドロで、
まったくこれまでのパターン通りだった。
数口食べてきつくなり、残して出ようと思ったが、
店に悪いのでそうもいかず、無理やり食べながら、
台湾の牛肉麺のことばかり思い出していた。
あっちの料理は全体的に薄口で
素材のうまさを立たせている。
そんな国に6日間いて
その薄味に快感を覚えていたから
この店のラーメンはなおさらきつかった。
アメリカに行ってケーキやドーナツの甘さに顔をしかめ、
やっぱりアメリカ人の味覚は不思議だな、
と思うのと似ていた。
辛い物を食べすぎると舌が麻痺するように
つくる側も食べる側もインパクトを求めて
どんどん過剰になっているんじゃないだろうか。
今ほどブームになる前のラーメンは
こんなに塩辛くなかったと思う。
実際、『dancyu』ウェブに連載中の
昔からある中華そば店を訪ねて歩いているのだが、
どの店も塩気がマイルドで、普通にうまいんだよなあ。
ま、全部僕の”好み”の話だけど。