世界一周旅行の途上、パキスタンで
あるアホと会った。
名は福島剛。職業はピアニスト。
僕のブログにも何度か登場している。
彼はアホだが、僕もアホなので、
妙にウマが合い、
かれこれ18年も関係が続いている。
旅に出ればたくさんの人と会うが、
時間とともに少しずつ、一人ずつ、
音信が途絶えていくものだ。
寂しいことだけど、
新たな出会いも増えていくので、
関係を保ち続けられる友人知人の数というのは
実は変わらないのではないかと思う。
時間は有限だから、そんなにたくさんの人と
密な関係を保ち続けるのは土台無理なのだ。
えっと。なんの話だっけ。
あ、そうそう、福島剛。
関係が保たれる条件として、
思考と嗜好が似ていること、
Wシコウ相似説というのがある。
僕が今考えたんだけど。
剛とは不思議と合うんだよなあ。
鏡を見ているような気分になる。
もちろん違うところもたくさんあるけど、
(応援しているプロ野球チームとか)
こだわっている部分の共通点が多いというか。
でももしかしたら、若いころ『人間失格』を読んで、
これは自分自身だと錯覚するような
幼い共感なのかもしれないのだが。
もとい。
食の好みも彼とは合う。
僕が日本一うまい、
と吹聴している京都の居酒屋を
剛も愛してるようで、
先日はその店から、
「うますぎる。もう死ぬかもしれない」
という実況中継メールをくれた。
で、その数日後に、どの店のラーメンがうまいか、
という高尚なメール交換をやったのだが、
僕が東京イチうまいと思った店を紹介すると、
剛は翌日早々にその店に行った。
これまでも数人にその店を薦めたのだが、
食後に感想を聞くと、
うまかった、とみんな言うものの、
どうも僕とは温度差がある。
ま、今風の派手な味のラーメンではないし、
ラーメンほど人の好みに左右される料理もないと思うので、
仕方ないな、とは思うものの、
心の奥底では「なんでわからんねん」という
ふつふつとした何かが煮えていた。
剛はその店から、こんな実況中継メールをくれた。
「すんません、参りました。
むさぼり食いました。
おしっこもらすかと思うぐらい美味かった。
なんじゃこりゃ。叫びたかった。
いやー、素晴らしい」
彼とはこれからも付き合っていくのだろう。
やっぱり合うんだよな。
食の嗜好だけでなく、この尾籠な感じも。
そんな福島剛が自分のブログにも
この店での感動を書いています→こちら。
写真はかなりひどいけど(笑)、
文学少年だった彼の書く文章はおもしろいですよ。