石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


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海外での心臓移植が順番抜かしかどうかより

4日ほど前、当ブログのアクセス数が爆発的にのびた。

なんかあったな、と思っていたら、

友人からこんなメールが届いた。

「ブログすごいことになってない?」

なにかと話題のZOZOタウン社長、前澤氏が、

当ブログの次の記事を自身のツイッターにあげたらしい。

→『移植手術のデポジット代は順番抜かし代なの?』

 

この記事はよくこんなふうに

いろんな人に取り上げられる。

そのため当ブログ内の記事別アクセス数は

ダントツで1位だ。

で、久しぶりに読み返すと、

文章が全然整理できていないことに愕然とした。

一番読まれている記事がこんな悪文だったとは…。

ということで手直しし、資料画像も入れた。

 

ちなみにこの記事を書いたのは4年前(2015.7.26)。

その後、臓器移植の状況にも多少の変化があったようなので

ここでも少し触れようと思う。

 

4年前に書いた記事の骨子は、こう。

 

心臓移植を目指すNちゃんという女の子がいる。

アメリカに渡るしか方法はなく、

総額約2億円(当時)もの費用がかかるため、

Nちゃんの親と有志が「Nちゃんを救う会」を立ち上げ、

募金活動をしている。

僕も縁があったので、会のことをブログで紹介し、

寄付をよびかけた。

 

これに対し、読者の方から次のような意見を頂いた。

2億円のうち1億円あまりが「デポジット代(医療費)」だ。

それは実質、自国で移植を待つ患者の列に割り込んで、

順番を抜かすための金だという批判があるが、

それについてどう考えているのか?

 

たしかに検索してみると

ネット内にはそういう意見が吹き荒れていた。

でもそのほとんどは感情に任せ、

たいした根拠もなく書き殴られたもののように思えた。

なので信頼のおける医療系の公式サイトをいろいろ読んで、

自分なりに調べたら、次のようなことがわかった。

 

日本で心臓移植を受けた患者は

2013年までの14年間で185人
その全員が緊急度の高い「ステータス1」の患者で、
9割の患者に補助人工心臓が装着されていた。
(つまり1日も早く移植してほしい状況だった)


それに対し、米国では1年間に約2,200 件の心臓移植が
行われているが、「ステータス1」 の患者はその62%で、
補助人工心臓を装着されていた患者は45%だった。

また、日本で心臓移植を受けた185人の待機期間、

つまり移植を待っていた期間は平均981 日、
補助人工心臓の装着期間は平均896 日だった。

これに比べ、米国では

「ステータス1」の患者の待機期間は平均56 日、
補助人工心臓の装着期間は平均50 日だった。

つまり日本の移植待機期間はきわめて長いのが特徴。

原因は国内の臓器提供者(ドナー)の数が圧倒的に少ないから。

 

で、次のようにまとめた。

アメリカで移植を受けた患者の約4割が
「ステータス1」ではなかった。
つまり緊急度は低かった。

専門的なことはわからないので想像で書くが、

ドナーが脳死してから臓器を移植するまで、

おそらく時間の猶予はそんなにないのだろう。

そのとき緊急度の高い患者がいなければ、

切羽詰まっていない患者に臓器がまわっていくのではないか。

ならば一刻を争う自分の子供を先にしてほしい――。
その考えが倫理的に責められることなのかどうか、

同時に「デポジット代」が本当に

「順番抜かし代」に相当するのかどうか。

そのあたりを精査すべき。

 

これに対し、最新の資料を読むと、

大きく変わったのは次の部分。

 

アメリカの臓器提供者数は様々な努力で増加し、

2017年には3,244人の心臓移植が行われた。

以前は緊急度の低い「ステイタス2」の患者も移植を受けていたが、

その割合は最近は激減しており、2017年は約2.5%だった。

 

要するに、最近のデータでは、

アメリカで移植を受けた人のほとんど(97.5%)が

緊急度の高い「ステータス1」の患者だったわけで、

その人たちが、日本の待機期間よりはるかに短いとはいえ、

50日程度は待たされているのである。

その状況を考えると、

渡航移植の是非についての見方も変わってくる。

 

ただ、アメリカが日本からの患者を受け入れている以上、

たとえば自分が親だとしたら、

世間からどれだけ叩かれようと我が子を守るために

渡航移植の道を必死で模索すると思う。

責めるべきはそこじゃない。

真の問題は、日本のドナーが他国と比べて圧倒的に少ないことだ。

(クリックすれば拡大します↓)

日本移植学会のサイトから

 

ほんとひどすぎる。

仮に”順番抜かし”ではないとしても、

他国からすれば

「自国でドナーを増やす努力をしろよ」

と言いたくなるのは当然だ。

 

日本のドナーがこれだけ少ないのは、

死生観も関係しているかもしれないが、

おそらく構造上の問題だろう。

移植同意者の割合は

日本はたった10%程度なのに対し、

オーストラリアなんかは99.9%らしい。

この国では拒否の意思を示さないと

移植同意とみなされるそうだ。

この方式でいいじゃん、と思うけどなあ。

選択の自由もちゃんと確保されているんだし。

 

日本臓器移植ネットワークの公式サイトによると、

現在、日本国内で臓器移植を

待っている患者は1万4千人あまり。

(心臓移植の待機患者は863人)

彼らの命のためにも、

また渡航移植に対する国際批判を避けるためにも、

本気で法改正、またはルール作りに臨むべきじゃないのかな。

 

| 社会 |
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