2003.11.18 Tuesday
幻のパン
ぼくはパンが好きだ。
中でも、山崎パンが好きだ。
なぜなら、阪神大震災の時、ぼくはひどく個人的な衝動でボランティアに広島から駆けつけたのだが、その時、山崎パンは700個もの菓子パンを、まったく面識のないぼくに譲ってくれたからである(山崎パン、広島工場のみなさま、その節は本当にありがとうございました)。
だからといって宣伝するわけではないのだが、先日、ものすごくうまいパンに出会った。
山崎パンの季節限定「マロンチョコデニッシュ」である。
これは、あのロングセラー商品「ホワイトデニッシュショコラ」(板チョコ入りデニッシュ)の応用版である。
もともと、ぼくはこの「ホワイト〜」を菓子パンの横綱と考えていた。
(これを置いていないコンビニは、何を考えているのだろう、と不思議でならない。確実に客足を遠のかせているのではないか。少なくともぼくの足は遠のいている)
その「ホワイト〜」の「季節限定」版!
消費者心理をたくみ操る、この企業戦略的コピーにぼくはいとも簡単にひっかかってしまった。早速それを購入して食べてみた。
「うまあああああっ!」
びっくりした。
栗が本当に入っているのではないか、とかんぐってしまうぐらいのホクホク感に、まろやかさ。デニッシュの生地との相性も抜群である。
お気に入りの本のページがどんどん減っていくのを寂しく思うように、かじったそばから減っていくマロンチョコデニッシュに、ぼくは惜別の念をいだいた。それほどうまかった。
それから不思議なことが起こった。
その日から、コンビニにパンを買いに行く度にマロンチョコデニッシュを探すのだが、なぜかどこにもないのである。
もう一週間以上経っているが、それからまだ一度もお目にかかっていないのである。
あのうまさのことだ、ひょっとすると、巷では大ブレイクして、店に並んだ瞬間に売り切れているのかもしれない、と本気で考えたのだが、どうもそうではないらしい。
というのも、居酒屋で友だちと飲んでいて、パンの話になる度に、ぼくはマロンチョコデニッシュのことを言うのだが、誰一人、それを知らないと言う。
狐につままれた思いである。
ぼくはひょっとして、夢を見ていたのではないか。
現実には存在しない、幻のパンを食べたのではないか。
一旦そう思い出すと本当にそう思えてきた。気味の悪い感触だった。
自分がどの地に足をつけて立っているのか、ちょっとあやふやな感じがしたのだ。
中でも、山崎パンが好きだ。
なぜなら、阪神大震災の時、ぼくはひどく個人的な衝動でボランティアに広島から駆けつけたのだが、その時、山崎パンは700個もの菓子パンを、まったく面識のないぼくに譲ってくれたからである(山崎パン、広島工場のみなさま、その節は本当にありがとうございました)。
だからといって宣伝するわけではないのだが、先日、ものすごくうまいパンに出会った。
山崎パンの季節限定「マロンチョコデニッシュ」である。
これは、あのロングセラー商品「ホワイトデニッシュショコラ」(板チョコ入りデニッシュ)の応用版である。
もともと、ぼくはこの「ホワイト〜」を菓子パンの横綱と考えていた。
(これを置いていないコンビニは、何を考えているのだろう、と不思議でならない。確実に客足を遠のかせているのではないか。少なくともぼくの足は遠のいている)
その「ホワイト〜」の「季節限定」版!
消費者心理をたくみ操る、この企業戦略的コピーにぼくはいとも簡単にひっかかってしまった。早速それを購入して食べてみた。
「うまあああああっ!」
びっくりした。
栗が本当に入っているのではないか、とかんぐってしまうぐらいのホクホク感に、まろやかさ。デニッシュの生地との相性も抜群である。
お気に入りの本のページがどんどん減っていくのを寂しく思うように、かじったそばから減っていくマロンチョコデニッシュに、ぼくは惜別の念をいだいた。それほどうまかった。
それから不思議なことが起こった。
その日から、コンビニにパンを買いに行く度にマロンチョコデニッシュを探すのだが、なぜかどこにもないのである。
もう一週間以上経っているが、それからまだ一度もお目にかかっていないのである。
あのうまさのことだ、ひょっとすると、巷では大ブレイクして、店に並んだ瞬間に売り切れているのかもしれない、と本気で考えたのだが、どうもそうではないらしい。
というのも、居酒屋で友だちと飲んでいて、パンの話になる度に、ぼくはマロンチョコデニッシュのことを言うのだが、誰一人、それを知らないと言う。
狐につままれた思いである。
ぼくはひょっとして、夢を見ていたのではないか。
現実には存在しない、幻のパンを食べたのではないか。
一旦そう思い出すと本当にそう思えてきた。気味の悪い感触だった。
自分がどの地に足をつけて立っているのか、ちょっとあやふやな感じがしたのだ。