2006.04.29 Saturday
若年性認知症の恐怖
記憶力にはけっこう自信があった。
しかし最近は本当にダメだ。
原因はわかっている。
ペルーで強盗に襲われたあと、現地でアルミ鍋を買った。厚さ約3mmと、かなりの分厚い鍋だったが、やけに軽く、しかもちょっと力をかければぐにゃりと曲がるほどやわらかい。それでご飯を炊くと、表面にうっすらと銀色の幕がはった。
この鍋を使い始めて1年経ったころ、物忘れがひどくなってきた。説明するまでもないだろうけど、アルミ成分は体にたまり、認知症をひきおこすといわれている。
あるとき、スウェーデンのとある町で、男5人が民族衣装を着て、南米フォルクローレを演奏しているのを見た。話しかけてみると、ペルーから来たという。
「そっかー! 奇遇だな。俺、ペルーで鍋を買ったんだ。もう使わなくなったから君たちにあげるよ!」
といって、彼らに鍋をあげ、ぼくはスウェーデンで新しい鍋を買った。
今から考えると、ひどいことをしたような気もするが、そのときのぼくは、ペルーの鍋をペルー人に返すことで一件落着という、自分でもよくわからない感情に支配されていたのだ。
なんか長くなってしまったが、つまり、ぼくの物忘れのひどさはすべてあのアルミ鍋のせい、というわけである。それ以外の理由は一切ない。
さて、現在、3作目の本の執筆のために時々日記を読み返すのだが、「え?こんなことあったっけ?」と首をかしげることがよくある。
昨日はびっくりするような事実を発見した。
ウズベキスタンでのことだ。
食堂で闇両替をしたとき、ポリスらしき男が近づいてきた。逃げようとしたら、両替屋のオヤジがぼくの手をつかんだ。こいつらグルだ、と思った次の瞬間、ぼくは相手を力いっぱい突き飛ばしていた。オヤジは後ろにひっくり返った。ぼくは食堂から飛び出し、サマルカンドの町を全力疾走した。走りながら「まるでタンテイ(あるいはドロケイ)をしているようだ」と少しニヤニヤした。
という事件があったのだが、そのことをまったく思い出せなかった。
何を食って誰に会ったか、というのは忘れても、闇両替屋のオヤジを突き飛ばしてポリスから全力で走って逃げる、なんていう出来事まで記憶に残っていないとは……。
ぼくの脳みそはすでにツルツルかもしれない。怖い怖い。
*
しかし、なんでこんなおいしいネタをこれまで書かなかったのだろう?
ということで、3作目に書きました(笑)。
って、ここにも書いとるやん!
しかし最近は本当にダメだ。
原因はわかっている。
ペルーで強盗に襲われたあと、現地でアルミ鍋を買った。厚さ約3mmと、かなりの分厚い鍋だったが、やけに軽く、しかもちょっと力をかければぐにゃりと曲がるほどやわらかい。それでご飯を炊くと、表面にうっすらと銀色の幕がはった。
この鍋を使い始めて1年経ったころ、物忘れがひどくなってきた。説明するまでもないだろうけど、アルミ成分は体にたまり、認知症をひきおこすといわれている。
あるとき、スウェーデンのとある町で、男5人が民族衣装を着て、南米フォルクローレを演奏しているのを見た。話しかけてみると、ペルーから来たという。
「そっかー! 奇遇だな。俺、ペルーで鍋を買ったんだ。もう使わなくなったから君たちにあげるよ!」
といって、彼らに鍋をあげ、ぼくはスウェーデンで新しい鍋を買った。
今から考えると、ひどいことをしたような気もするが、そのときのぼくは、ペルーの鍋をペルー人に返すことで一件落着という、自分でもよくわからない感情に支配されていたのだ。
なんか長くなってしまったが、つまり、ぼくの物忘れのひどさはすべてあのアルミ鍋のせい、というわけである。それ以外の理由は一切ない。
さて、現在、3作目の本の執筆のために時々日記を読み返すのだが、「え?こんなことあったっけ?」と首をかしげることがよくある。
昨日はびっくりするような事実を発見した。
ウズベキスタンでのことだ。
食堂で闇両替をしたとき、ポリスらしき男が近づいてきた。逃げようとしたら、両替屋のオヤジがぼくの手をつかんだ。こいつらグルだ、と思った次の瞬間、ぼくは相手を力いっぱい突き飛ばしていた。オヤジは後ろにひっくり返った。ぼくは食堂から飛び出し、サマルカンドの町を全力疾走した。走りながら「まるでタンテイ(あるいはドロケイ)をしているようだ」と少しニヤニヤした。
という事件があったのだが、そのことをまったく思い出せなかった。
何を食って誰に会ったか、というのは忘れても、闇両替屋のオヤジを突き飛ばしてポリスから全力で走って逃げる、なんていう出来事まで記憶に残っていないとは……。
ぼくの脳みそはすでにツルツルかもしれない。怖い怖い。
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しかし、なんでこんなおいしいネタをこれまで書かなかったのだろう?
ということで、3作目に書きました(笑)。
って、ここにも書いとるやん!