石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


※親サイトの『7年半ぶっ通しチャリ世界一周』はパソコンを新しくしたためにストップしたままです。
近況報告や各種案内は、もうしばらく、当ブログにて行います。
月食を感じる心
おとといの皆既月食、みなさんはご覧になりましたか?
本州は曇り空だったようですが、ぼくはその日札幌にいて、はっきり見ることができました(自慢したいわけじゃありませんが……)。淡い色で欠けていく月は思いがけず幻想的で、口を開けて見とれてしまいました。
「あれが地球の影か……」
そう思うと妙な気分でした。月がすぐ近くにあるようで、がんばればそこまで行けそうな感じがしました。

いつだったか、ずいぶん前にも皆既月食を見た記憶があります。そのときは普通の三日月とたいして変わらないように思いました。

自分のなかに、年を重ねるごとに磨り減っていく感受性と、豊かになっていく感受性のふたつがあるような気がします。妖しい色で光る月を見ながら、育っていく感受性を思い、「なんか楽しいな」と妙にそわそわしたのでした。






| 生活 |
夕日と、毛ガニと、挨拶
新潟&北海道から帰ってきました。
アドレナリン渡辺さんをはじめ、新潟でお世話になったみなさん、そして札幌M中学関係者のみなさん、本当にありがとうございました。

ビーチBBQ&スライドショーは当初予定していた以上の人が集まり(108人)、てんやわんやとなりました。天気に恵まれ、夕日が佐渡島に落ちていくところまではよかったのですが……。人が多すぎてマイクの音が届かず、ご迷惑をおかけしました。本当にすみません……。
スライドショー自体はよかったと思うんですけどね。海から見ると、浜茶屋の壁に異国の写真が大写しになっていて、なかなか幻想的でした。
ただ、やはりマイクが……すみません……。

翌日のサイクリングには5歳の子どもがおもちゃのような自転車で参加してくれました。
「全行程の15kmは走れないだろうな」と思いましたが、彼は走りきりました。ゴールシーンにはちょっと感動。Kくん、よくやった。
信濃川沿いの景色も素敵でした。広々として、風が気持ちよくて。

北海道では、毛ガニ、ウニ、その他いろいろ本当にごちそうさまでした。
毛ガニの味噌って、あんなにうまかったんですね。
「これ以上のものってあるのかな?」なんて思いながら甲羅をしゃぶっていました。値段では上を行く上海ガニは果たしてどうなんでしょう?

M中学の生徒さんたちも暑い中、よく聞いてくれました。
挨拶の声がやたらと元気なので驚きました。やっぱり北海道って、違うのかな。とてもすがすがしい思いがしました。

みなさん、いろいろありがとうございました。






| - |
講演行脚で北国へ
これからイベントで新潟へ向かいます。
ビーチでBBQしながらのトークショー。
この海岸は夕日がきれいで有名らしいです。
明日の天気は晴れ!
夕日マニアとしては、ものすごい楽しみ! うおお〜。

で、それが終わると、そのまま北海道へジャンプ。こちらは中学校で講演。
うおお、待ってろよ、ウニウニ!(だから仕事やって)

では行ってきます。
スィーユー。
| 講演 |
好対照な試合
甲子園の決勝はインターネットの「一球速報」で追った。原稿を書きながら。ちょっとバタバタしている。
佐賀北に4点差をつけ、広陵の完勝ペースかと思ったら、8回のアレだ。押し出しのあと、逆転満塁ホームラン。野球漫画かよ! と慌てて仕事を投げてテレビをつけた。そして佐賀北の初優勝。すごいすごい。公立校の優勝なんて、何十年ぶりじゃないの?
興奮しながら画面を見ていると、アナウンサーが「両校ともがんばりました」といった。そのとたん、急に目がうるんだ。うむむ、涙腺のゆるさが最近ますますひどくなってきたな。

さて、夜はサッカー2試合。今週末のイベントで使う写真を選びつつテレビで観戦。サッカーを見ながら仕事なんてできないだろうな、と思っていたら、ずいぶんはかどってしまった(笑)。
A代表のほうはまあいいとして、なんだ、あのオリンピック代表は!
比べるのはおかしいが、昼間の球児たちの熱闘とあまりにも対照的だった。
それぞれ好き勝手している感じで、チームワークなんてものがほとんど見られない。連携プレー云々の前に、声をかけあっている様子もない。
唯一覇気が感じられたのは、元気のいいU20世代から唯一選ばれた柏木。攻守にわたってよかったと思う。その柏木をなんで代えたんだ、反町監督? まったく攻めずに中盤で散歩ばかりしていた本田を代えろー!
反町監督については、以前から疑問だったが、今回はさらにその思いが強くなった。試合後の記者会見も、あれってどうなの? 開口一番の台詞が「勝ち点3をとれたことを素直に喜びたい」
違うだろ、違うだろ! あの試合で喜んでいる人は少ないと思うぞ。大量得点が必要だった試合だろ!
うーん、今のオリンピック代表とU20代表を戦わせてみたいものだ。フンガー!


今朝の新聞に、公立校の優勝は11年ぶりとありました。ちょっと意外。





 

| スポーツ |
手を取り合って。
昨日のNHKニュースを見ながら、またもやテレビに向かって「おい!」と突っ込んでしまった。自分がオヤジ化していることは否定しない。それはともかく。
なぜか大手の新聞はどこも書いていないようだが、自民党の中川幹事長が昨日の記者会見で自民党と民主党との連立をほのめかした。こちら

そのときの中川氏の台詞がウケる。得意のアレだ。
「民意を受けまして、連立も視野に……」
おいおいおい!
誰がそんな“民意”を出したんじゃ!

この2つ下のブログに「まさか民主党と連立を組む、なんて言うなよ」と書いたが、本当にそのとおりのシナリオが顔を出すのだから、まったく次から次へと笑わせてくれる。「小泉劇場」とは違う意味で「安倍劇場」だな。見事なドタバタぶりだこと。


ところで、今週土曜日、新潟駅南口を出てすぐのところにあるジュンク堂書店でサイン会&トークショーします。その日は夜からビーチでBBQ&トークショーもあります。詳細は右をご覧ください。
| 社会 |
久しぶりに小劇場へ
ぼくの住む阿佐ヶ谷はなかなか文化的な街だ。
その発信基地のひとつとしてそびえ立つのが「ラピュタ阿佐ヶ谷」。
名前のとおり、映画『天空の城ラピュタ』をイメージして建てられたビルだ。形はぜんぜん違うのだが、雰囲気はよく似ている。ぼくは最初このビルを見たとき、心の中で「うわ、ラピュタや!」と叫んだ。そのあとビルの名前を知り、ひとりで笑ってしまった。

ラピュタ阿佐ヶ谷は3階建てのビルだ。
3階は「山猫軒」というレストラン。入店しても別に塩はまぶされない。
2階は名画座。ロシアのアニメや昔のピンク映画などマニアックな映画ばかり上映している。
1階はロビーと茶室。
で、地下は「ザムザ阿佐ヶ谷」という芝居小屋。ここだけ行ったことがなかった。芝居は好きなのだが、きっかけがないとなかなか足は向かない。

そのザムザ阿佐ヶ谷に、一昨日、ようやく行ってきた。
「虹と満月のレストラン」というパフォーマンスを観に。友人が出るというので。

劇場に入ると胸が高鳴った。期待にたがわず、地下の秘密基地といった雰囲気。木のひな壇に座布団。70人ぐらい入ればいっぱいか。この日は満員御礼。
ほぉ、と意外に感じたのは子どもたちの姿。親子連れがかなりいる。夏休みで日曜日ということもあるのだろうか。

パフォーマンスは音楽や踊りで四季や世界を表す、といったもの。短歌の朗読あり、ベリーダンスあり、タップダンスあり、コンテンポラリーダンスあり、歌あり、ギター独奏あり、早い話、何でもあり。最後は寒イボ出まくりの和太鼓でシメ。はっきりいって、とても楽しめた。誘ってくれた友人に感謝、である。

感動的だったことがもうひとつ。客席の子どもたちの反応だ。
短歌の朗読やコンテンポラリーダンスは、これをもしテレビなんかで見ていたら「ワケわからん」という感想しか出なかったかもしれない。でも生だから胸に迫るものがある。アートを、理屈ではなく、五感で受け止める。それが小さいときから体験できるということに、地方出身のぼくはちょっと羨望をおぼえてしまったのだった。



| 生活 |
いびつな顔写真
たとえば新聞のスポーツ欄のプロ野球。
試合に負けた監督の写真は、渋い表情をしたものが使われている。
敗戦投手の写真は、打たれた直後の肩をがっくり落としているシーン。
政治欄を開けば、汚職がばれた官僚の写真は、ひどくいびつな顔。

写真は、つねに象徴的なものが選ばれているわけで。

マスコミの安倍首相叩きがすごいな、と思う。
読売新聞朝刊の1面を見てください。
「なるか再生」というシリーズ記事。そのタイトルにつけられている安倍さんの顔写真のひどいことひどいこと。卑屈で、視点がどっかいっちゃってる。痴漢の現行犯でつかまった中年オヤジが「俺じゃないよぉ」とべそをかきながら必死で弁解しているような顔だ。読売新聞もよくこんな写真を選んだな〜、とちょっと驚いてしまった。今日の「編集手帳」でもボロクソ書いていたし。。

安倍政権、あとどのくらいもつのだろうか。
今回の防衛省人事のゴタゴタもご愁傷さま。。。

最後は民主党と連立政権、なんてオチはやめてね。


| 社会 |
かゆみとバイバイ
何かにつけ根源的な意味を求める性癖が、ぼくにはあるらしい。
もちろん、今の仕事にはそれが必要で、逆にいえばその性癖がなかったら今の仕事には興味を持っていなかっただろうから、どこかの厨房で料理を作っていたかもしれない。

それはともかく、鎮痛剤などを服用することに強い抵抗があるのもその性癖のおかげである。痛みをごまかしてどうするねん? 根本的な解決にはならないやろ。痛みに立ち向かえ、そして乗り越えろ! こういう叫びが心の奥から聞こえるのである。
同じ理由で虫さされ用の痒み止めも、もうここ何年も使ったことがない。
痒みなどを気にするのは気合が足りんからだ、と思う。

ところが、先日、何にやられたのか、気がふれそうなほどの痒さをともなう小さな膨らみが大腿部にできた。これでは仕事どころではない。ぼくは薬局に走り、メンターム『かゆみとバイバイ』を買った。ムヒやキンカンなど、有名どころを買わなかったのは、反逆心からだ(本当は『かゆバイ』がいちばん安かったから)。

おそらく10年以上ぶりの痒み止めである。特に期待もせずキャップを開け、筒の先のスポンジ面を患部に執拗にこすりつけてみた。するとどうでしょう、あれだけぼくを悩ませていた痒みがスーッと引いていき、サラサラと涼風が吹き始めるじゃありませんか。
「い、いいじゃねえか……」

それからというもの、『かゆみとバイバイ』を常に手元に置き、ちょっと蚊に刺されただけでも「アチョッ、アチョッ」とスポンジ面を皮膚に叩きつけている。皮膚のどこかに痒みを感じたとき、ニヤリ、と笑う自分がいる。








| 生活 |
小説の解説
下に書いた小説にいくつか質問が寄せられたのでお答えします。

すべて事実です。
猫とペルセウス流星群以外は。
流星群はこの東京都心部じゃ、たぶん見られんでしょう。。

あと、「2作目『いちばん危険なトイレ〜』には日本でも毎日インド式でやっているって書いていたじゃねーか」という鋭いツッコミもいただきました。
ええ、今もやってますとも。毎日。
でも最初は紙を使い、そのあと仕上げに水、という各文化を取り混ぜた国際的な方法をとっています。排出後のフレッシュな何に水だけで挑んだのは久しぶりだったので、ちょっと嬉しくなって書いたのでした。あと、拾ったペットボトルを夜の公園で洗って使っている自分の姿に深いペーソスを感じたので、創作意欲がわいたのでした。

こんなもんでよろしいでしょうか?




| 生活 |
小説「或る作家のトイレにおける考察」
夜、ひとりの作家が住宅街を歩いていた。暗い路地には人気がなく、自分のゴムサンダルの音だけがペタペタと響いていた。どこか遠くの街に来たようだな、と彼は思った。住み慣れた阿佐ヶ谷の街なのにな。一匹の猫が目の前を通り過ぎ、暗がりに消えた。
便意をもよおしたのは、その直後だった。
「……うむ。カキ氷を食べ過ぎたかな」
彼が住んでいる部屋までは歩いて3分ほどの距離である。十分間に合いそうだ。そう思いながらも、ふいに別の考えが頭に浮かび、徐々に彼の心を捉えていった。

公園のトイレでやるべきじゃないのか?
阿佐ヶ谷を愛しているなら、その街に根ざした、市民たちの手で守られたトイレに我が分身を排出するべきじゃないのか?
そうして初めて、真の阿佐ヶ谷住民になれるんじゃないのか?

彼はこの考えに満足した。
そして来た道を戻り、いつもそばを通っている小さな児童公園に向かった。
桜や欅に囲まれた小宇宙のような闇の中に、トイレは青白く浮かんでいた。
彼はかすかに高揚していた。これで自分はさらに一歩深く街に溶け込むのだ、と思った。ところが、トイレのドアを開けたとたん、彼は両手を頬に当て、ムンクの『叫び』のように口を大きく縦に開けるのである。

……紙がない。

「まいったな……」
やっぱり家に帰るか。
いや待てよ――。何かが、彼の足を引き止めた。
本当にそれでいいのか。それで満足できるのか? お前の行動基準は「後悔しないほうを選ぶ」じゃなかったのか。

意外なほど清潔なトイレを見つめながら、彼はしばらく立ち尽くしていた。それからニヤリと不敵な笑みを浮かべ、奇妙な行動に出た。
地面を注視しながら、犬のように辺りを徘徊し始めたのである。
「……あった」
落ちていた500mlのペットボトルを、作家はおもむろに拾い上げた。
次に水場へ歩み寄り、ボトルの中を洗って水を満たし、それを持ってトイレに戻った。インド式で用を足したあとは、非常にさわやかな気分でズボンを上げた。濡れた尻も気にならなかった。
――世界旅行は俺をタフにしたな。
作家はこの日一番の充足を覚えた。折りしも、頭上ではペルセウス流星群が夏の夜空を賑わせていた。




| 生活 |
★新刊が発売されました
『自転車お宝ラーメン紀行』 レトロな路地や古い喫茶店など都内の“お宝”を探索しつつ、昔ながらのラーメンを目指す大冒険(?)紀行です。産業編集センター刊。1100円+税。感想お待ちしています!→yusukeishida@hotmail.com
★dancyuウェブに連載中
食の雑誌「dancyu」のウェブサイトに「世界の〇〇〜記憶に残る異国の一皿〜」というアホな記事を書いています。→https://dancyu.jp/series/ikokunohitosara/index.html
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< August 2007 >>
LINKS
PROFILE
RECOMMEND
行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅 (幻冬舎文庫)
行かずに死ねるか!―世界9万5000km自転車ひとり旅 (幻冬舎文庫) (JUGEMレビュー »)
石田 ゆうすけ
7年走って見つけた世界一の宝とは?
RECOMMEND
RECOMMEND
洗面器でヤギごはん (幻冬舎文庫)
洗面器でヤギごはん (幻冬舎文庫) (JUGEMレビュー »)
石田 ゆうすけ
食べ物ストーリーでつづる世界一周紀行
RECOMMEND
道の先まで行ってやれ! 自転車で、飲んで笑って、涙する旅 (幻冬舎文庫)
道の先まで行ってやれ! 自転車で、飲んで笑って、涙する旅 (幻冬舎文庫) (JUGEMレビュー »)
石田 ゆうすけ
ニッポン飲み食いハチャメチャ自転車紀行。文庫改訂版
RECOMMEND
地図を破って行ってやれ!  自転車で、食って笑って、涙する旅
地図を破って行ってやれ! 自転車で、食って笑って、涙する旅 (JUGEMレビュー »)
石田 ゆうすけ
日本紀行第2弾。東京、茨城、滋賀、屋久島、種子島、土佐、北海道、熊本、三陸…
RECOMMEND
大事なことは自転車が教えてくれた: 旅、冒険、出会い、そしてハプニング!
大事なことは自転車が教えてくれた: 旅、冒険、出会い、そしてハプニング! (JUGEMレビュー »)
石田 ゆうすけ
旅のハプニングやノウハウをつづった実用エッセイ
RECOMMEND
台湾自転車気儘旅 世界一屋台メシのうまい国へ
台湾自転車気儘旅 世界一屋台メシのうまい国へ (JUGEMレビュー »)
石田ゆうすけ
台湾一の感動メシを探せ! 初のフォトエッセイ
RECOMMEND
道の先まで行ってやれ!―自転車で、飲んで笑って、涙する旅
道の先まで行ってやれ!―自転車で、飲んで笑って、涙する旅 (JUGEMレビュー »)
石田 ゆうすけ
ニッポン飲み食いハチャメチャ自転車紀行
RECOMMEND
「勝ち論」 本気で仕事する24人からのメッセージ
「勝ち論」 本気で仕事する24人からのメッセージ (JUGEMレビュー »)

「本気で仕事する24人」にぼくが入っています(笑)。デカイこと言っています。
SELECTED ENTRIES
CATEGORIES
ARCHIVES
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
モバイル
qrcode
SPONSORED LINKS