石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


※親サイトの『7年半ぶっ通しチャリ世界一周』はパソコンを新しくしたためにストップしたままです。
近況報告や各種案内は、もうしばらく、当ブログにて行います。
胃酸の出る重大問題
かねてからぼくを悩まし続けている問題がある。
寿司の「1カン」というのは、寿司が1個なのか、2個なのか。
雑誌の原稿にたまたまその語――「カン」を使うことになったので、この長年の問題にけりをつけてやろう、と広辞苑を引いた。

すると、「カン」がのっていない。
けっ。これだから広辞苑はよ。なにが辞典の最高峰だ。セレブな顔しやがって。だいたいてめえの語釈は冷たすぎるんだよ。体温がないっていうかな。なんかこう、辞典て感じで。あ、辞典か。

と罵倒しながら、体温の通った「新解さん」こと「新明解国語辞典」を引いた。
すると、のっていない。
まさか。
あ、そういえば新解さんには「かぞえ方」がのっているのだった。
ということで、「寿司」を引いてみたら――そこにものっていない。この問題には触れてくれるな、といわんばかりに。
ためしに「のり巻き」を引いてみた。

【のり巻き】 中に味を付けたかんぴょうなどを入れて、まわりをのりで巻いたすし。太巻きと細巻きが有る。[かぞえ方] 一本

きちんと「かぞえ方」がのっているではないか。
次に「回虫」を引いてみた。

【回虫】 人間や家畜の小腸に寄生する害虫。形はミミズに似て、色は黄白色 [かぞえ方] 一匹

のっているではないか。
「寿司」は「回虫」よりも扱いが低いのか?
仕方がなく、パソコンをネットにつなぎ、検索してみた(最近、ネット世界と距離を置こうと、一日の大半はコードを抜いているのだ)。
すると、ウィキペディアにはこう出ているのである。

握り寿司は1かん、2かんと数える。貫の文字を当てることが多い。しかしまだ、一般の国語辞典では採用していない助数詞である。寿司を「かん」と数えた例は比較的最近からである。

なんと、そうだったのか。これで謎は解けた。すっきりした。いや、違う。いつの間にか謎が入れ替わっている。そもそも、1カンは寿司が2個なのか、1個なのか、という問題であった。

なおも調べてみると、「数え方の辞典」(小学館)には「最近では1個を1貫で数えるように変化している」と出ているらしい。しかし、語源的には2個で1貫が正しい、という意見も根強いという。

結局この問題は、ここ最近の天気と同様、ぼくの中ではすっきりしないままである。
これからもこの問題と向き合い、胃を溶かそうと思う。


| 生活 |
祭りのあと
世界旅行をやる前とやったあとでは、ぼくの中にはやはり多少の変化があった。
スポーツ観戦もそのひとつ。
スポーツはやるもので、観るものじゃない、と昔は単純に考えていた。テレビの前でじっとスポーツを観る人の気がしれない、と言ってはばからないぐらいに。

しかし旅を終えて7年ぶりに帰国し、しばらくすると、いつの間にか極度の虎キチになり、日本代表のサッカーの試合がある日は朝からワクワクするようになっていた。なんなんだろう。この極端な嗜好の変化は。旅のせいなのか、ただ単に歳をとったせいなのか。よくわからない。

そんなぼくだが、オリンピックにはじつはさほど関心がなかった。それなのに、北京五輪。振り返ってみると、ブログは五輪ネタばかりだし、何度も熱くなって叫んで涙して。思いっきり満喫してしまった(=原稿進まなかった)。そして思わぬ副作用が――家にいると、ついテレビをつけるという悪癖が身についてしまったのだ。

しかしこうしてあらためてテレビを観てみると、ほんとうに下らないな(なんなんだ、あの「キス我慢選手権」というのは)。五輪開催期間と比べて、ブラウン管中の熱気の落差のすごいこと。はあ。五輪が終わったと同時に雨ばかりだし。相変わらず原稿が進まないのも仕方がない……。

| 生活 |
スケールの大きな男、ソフトボール観戦の巻

常々、大きな男になりたいと思っている。

ビッグマンは悠々としている。
ビッグマンは細かいことに動じない。
逆に小男とは、たとえばワンセグ携帯でテレビを見るようなヤツだ。
外に出ていてまでテレビを見ようとするあのセコイ感覚。小さい画面を猫背で注視する姿。なにもかもが矮小だ。ぺっ。

昨日の夜は新宿で編集者とメシを食った。
9時過ぎにお開きになり、新宿駅へ。
ビッグマンゆうすけは歩きながら、ワンセグをポチッ。
ああ、なでしこ残念! でもソフトボールは勝ってる! 7回の表! 
ちっこい画面に集中しながら、改札をくぐり、やってきた電車に乗りこむ。うわっ、日本、追加点入れよった! ボリュームは極限まで抑えていたけれど、解説の宇津木さんの絶叫がもれてしまった。2、3人の乗客がこっちを見る。

阿佐ヶ谷に着いて電車を降りるころには最終回のアメリカの攻撃が始まっていた。家まで走れば間に合うかもしれない。でも1球も見逃したくない。それに、明日のおかずも買っておきたい。ちっこい画面に釘付けになりながら、西友に入る。

そうだ、家電売り場でテレビを見れるかもしれない。俺頭いい。ビッグマンゆうすけはエスカレーターを走る。ワンセグから目を離さずに。
5階に到着。テレビは、あった。しかし売り物のテレビではなく、販促用のテレビだ。へんな製品のプロモーションが流れている。そんなん見たないんじゃボケッ、と勝手にチャンネルを変えた。しかしどの局も砂嵐だ。販促用のテレビにアンテナがつながっているわけないやんけ、あほっ。そのことに気づいた頭のいいビッグマンは、急いで買い物を済ませる方針に変更、2階の肉売り場に向かって、エスカレーターを走った。
そんなことをしているうちに1アウト。げっ。
急いでひき肉を物色する。明日はマーボーナスだ。夏だもんな。ナスうめえ。あっ、2アウト。
ひき肉は、小さいサイズしかない。80gとかそんぐらい。ダメだ。もうちょっとほしい。でも2パックは多すぎる。
「わーーーーっ」
宇津木さんの絶叫が、ちっこいスピーカーが割れんばかりに響いた。
歓喜しあう選手たち。
そして宇津木さんの嗚咽。
「みんなよくがんばったよ〜〜」

ビッグマンゆうすけは、西友の肉売り場に立ち尽くし、ワンセグのちっこい画面を見ながら、涙した。

再び、ひき肉を吟味した。
「……やっぱり、2パックは多いよな」
スケールの大きい男は、別に今日買う必要ないやん、ということに気づき、西友をあとにしたのだった。







| 生活 |
1年でいちばん忙しい日
完璧に終わった! と思って提出した原稿に、一部ダメ出しが入り、昨日はとんでもなく忙しくなった。
ソフトボールはすごい試合になっているし、野球も緊迫感のある投手戦が続いているし、愛ちゃんもカンカンがんばってるし、男子サッカーはやっぱり情けないけど見捨てるわけにはいかないし。リモコンカチカチ、ほんとうに忙しい日だった。

それにしてもソフトボールはすごかった!
上野投手、2試合続けて延長を投げぬき、1日で318球! 
もう、これで感動しないヤツがいるのか、っていうぐらいのゲームだったけど、上野投手、今日は大丈夫か? 
| - |
スラム街を走る
昔は本当によく夢を見たのが、旅から帰ってきて以降、とんと見なくなった。
夢というのは、年齢とともに見なくなっていくのだろうか?
それはともかく、ついさっき、久しぶりに鮮明な、そしてけっこう自分としてはおもしろい夢を見たので、ここに記しておこうと思う。
夢の話などつまらない、というのを承知の上で書くので、ここから先は読み飛ばしていただきたい。

北海道の利尻山を登っていた。
頂上に立てたかどうかは、もうひとつ判然としない。
ただ、山から下りると、下界は南アフリカのスラム街になっていた。
しかも夕暮れ時。そろそろヤバイ時間だ。
ぼくはひたすら走った。タンザニアで、夜遅く、パンツ一丁で走ったときのように(『いちばん危険なトイレといちばんの星空』を参照)。
物乞いのオッサンや窃盗団らしきガキたちが、ぼくの視界を猛スピードで流れていく。まるで映画のようだ。何人かはこっちをギロリとにらむ。
学校があったので、そこに飛び込んだ。アフリカ人たちがバスケットボールをしている。廊下に父兄がたくさん座っていた。なぜか日本人の父兄もたくさんいた。きれいなお母さんのところに行って、ぼくはこう聞いた。
「タクシー呼びたいんですけど、タクシー会社の電話番号教えてくれませんか」
お母さんはぼくをしばらく見つめ、紙に番号を書いて渡してきた。そして噛んで含めるように言った。
「いい? 市外局番は押さなくていいからね。2の246056」

ここで目が覚めた。
電話番号が妙にはっきりと、映像と音(お母さんの声)で残っている。
あとでかけてみようと思う。





| 生活 |
1点の価値
なでしこ、残念!
1点を先制したときは、隣近所に迷惑な声で叫びましたが、そのあとは悲痛な声で叫んでいました(結局どっちもうるさいんだけど)。
いやあ、やっぱアメリカは強かったですね。

でもラストの1点は震えました。
あれだけ消耗の激しい、点差の開いた試合で、最後の1点をとりにいくあの気迫。そして実際に奪い取る執念。

アナウンサーも言っていましたが、やはりこれまで大変な思いをして、サッカーを続けてきた選手たちだからこその気迫なんでしょう。
決勝に進めなかったのは残念だったけど、最後のあのシーンに、勝敗を超えた大きな価値があったと思います。
『ロッキー』も『明日のジョー』もラストでは勝負に負けながら、それでも勝敗を超越した、大きな意味を人に与えるように!
ん? こう書くとちょっと軽いか?

ともかく昨日の試合、というか、あのラストの1点は、今回のオリンピックのなかでも、ぼく個人としては、特別に印象に残るシーンでした。
次の3位決定戦の相手、ドイツは今日のアメリカより手ごわいらしいけど、またいいシーンを見せてくれ! 誤解を恐れずにいえば(ああ、このフレーズ嫌いなんだけど)、ぼく的には「メダル」や「国」はどうでもよかったりします。もちろん、メダルがとれれば単純にうれしいですけどね。 

| スポーツ |
応援の基準
変態居酒屋「葉山房」でリーくんと飲みながら、星野ジャパンの韓国戦を見た。
9回裏、日本の最後のバッターが倒れて、ぼくたちふたりはガッツポーズ。
まわりの客が白い目でこっちを見ている。完全アウェイである。
隣の兄ちゃんが何か因縁をつけてきた。何を言っていたのか忘れたけど。

ぼくが応援する基準は、自分でもよくわからない。
最初は星野ジャパンも楽しみにしてたんだけど、なんか気がついたらサディスティックな気分になっていた。監督が最初に言った「金以外はいらない」という言葉が、引っかかっているのかもしれない。自分のなかの天邪鬼が、ここに来てむくむく育ってきてしまった。

それより明日のナデシコには、がんばってほしい! 
日本から気を送るぞー!

あと、阪神も、が、がんばってくれ……。どうしたんだっ!


| スポーツ |
なでしこ、すげえ!
なでしこジャパン、お見事でした!
中国を2−0で破ってベスト4進出!
正直、いまの男子サッカーよりはるかにおもろいですな。戦術がはっきりしていて、それがきちんと実践されていて、見ていてなんのフラストレーションもたまらない感じ。というか、見ていてチョー気持ちいい! 何気なく見始めたのに、いつの間にか叫びまくっていて、試合終了後は思わず拍手。そして思ってしまいました。澤と永里を男子A代表に呼ぼう! と(笑)。いや、それは半分冗談にしても(半分ぐらいはマジや!)、両選手のスタミナ、前を向く姿勢、それに玉際の強さなど、ちょっとびっくりしました。あのゴールへ向かう勢い、どこかのチームにも見習ってほしいもんです。
いやあ、それにしてもよかった。ベスト4進出は、サッカーでは男子が銅メダルをとったメキシコ五輪以来、40年ぶりの快挙だそうですよ。

それと、昨日は、柔道の石井もよかったですねえ。
オフィス・某ロッテリアで仕事しながら、ワンセグの画面に没頭し(仕事してへんやん)、決勝で勝ったときは、まわりを気にせず叫んでしまいました。そのあと、例のコメントで大笑い。コーヒー1杯で4時間もねばったうえに、拍手したり叫んだり笑ったり。いやな客です。わかってます。


| スポーツ |
焼き鳥と柔道
いつもの「世界一の焼き鳥屋」で、生ビールを飲み、「奇跡のハツ」や「とろけるレバー」をつまみながら、五輪柔道を観た。この日もいつもと変わらず満員だ。しかし他の客は興味がないのか、テレビを見ずに普通に飲んでしゃべっている。

決勝戦で谷本歩実が出てきた。
「おっしゃ来た!」
とぼくが叫ぶと、ほかの客もテレビのほうを向いた。

そして試合開始!
あっという間に目の覚めるような1本! 金メダル! 
うおおお!
瞬間、店内が拍手でわいた。
その拍手が、本当に自然に起こった感じがして、なんだかじつによかった。

そう、そうなんだよなあ、やっぱり1本とるのが柔道だよなあ、と拍手とざわめきが止まぬ焼き鳥店でしみじみ思った。

ポイントを利口なやり方で――言い方を変えれば、「セコく」稼いで勝利しても、これほどの拍手は起こらなかったはず。

柔道の国際ルールは欧州に主導権を握られ、セコい勝ち方がますます主流になっている。

でもスポーツが目指すものは、つきつめればやっぱり感動でしょう。それが最大限に引き出されるようなルールにするべきじゃないの? 欧州のみなさん。

解説の篠原がポイント優先の戦い方に憤懣やるかたなし、って感じで、それが言葉の端々にでているのが、ちょっとウケます。
| スポーツ |
うわっ 金!
うわっ。北島、ほんとにとった! 金とった! やっぱりすげえ〜!

いやあ、しかし前回のアテネと比べ、北島の会見がずいぶん違いましたね。
前回は「超気持ちいいっ!」って。
あの自信に満ちた目を見て、正直、彼のことそんなに好きになれないな、ってぼくは思いました。
でも今回はタオルで顔を抑えて。目を赤くして。応援してくれた人に感謝の言葉を並べて。彼のこれまでの苦労がにじみ出ているようで、こっちまでウルッときてしまいました。

ああ、いかん。時差の少ない中国での五輪、その中継を逐一追えるのは嬉しいけど、こんなんじゃ仕事ができん!

最近、毎日、五輪から逃げるように「オフィス・モスバーガー」に行って原稿書いてます。そして炭焼きアイスコーヒーを飲みながら、ワンセグ携帯でオグシオのバドミントンを見て……意味ないやん!
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