石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


※親サイトの『7年半ぶっ通しチャリ世界一周』はパソコンを新しくしたためにストップしたままです。
近況報告や各種案内は、もうしばらく、当ブログにて行います。
「メーテルー!」と汽車を追いかける鉄郎
このタイトル。
アニメ史に燦然と輝く、『銀河鉄道999』のラストシーンである。
ぼくはこれを大学時代にテレビで見て、号泣した。
いちおう書いておくと、こんな感じだ。
メーテルをのせた汽車がゆっくり出発する。
鉄郎はそれに合わせて、プラットフォームを歩き出す。
汽車は加速しはじめる。
鉄郎も徐々に駆け足になっていく。
メーテルは窓から顔を出し、風でなびく髪をおさえながら、鉄郎を見ている。
鉄郎は全力で走りながら、何度も叫ぶ。
「メーテルー!」

そのシーンを頭の隅に浮かべながら、以下を読んでいただきたい。

阿佐ヶ谷のウチの近所に、小さな花屋がある。
メーテルに似た、哀愁の漂う美女がひとりでやっている。
正直、あまりはやっていそうにない。
チェーンの花屋と比べるとやはり値段は高いし、品揃えもよくない。
でも、近所のよしみである。
「がんばって!」というテレパシーを送りながら、花や観葉植物はいつもそこで買っていた。
べつに店主が美女だからではない。
(ちなみにこの花屋さんのことは以前にも書いた→こちら

ところが先日、その店の前を通り過ぎるとき、異変に気づいた。
いつも花であふれていた、6畳もないような小さなそのスペースが、ガランとしていた。花は1輪もなく、もぬけの殻になっていた。
ぼくはその前を過ぎて、商店街を歩きながら、地下への階段を一歩一歩下りていくように沈んでいった。
「守ってあげられなかった……」
阿佐ヶ谷の鉄郎はそんなふうに思った。

これが1ヶ月ほど前の話である。
哀しみにも、やがてなれていき、鉄郎は日々の仕事にうずもれていった。
今朝になって仕事もひと段落したので、さっき部屋を整理した。
いろんなものをチェックしながら、不要なものを捨てていった。
そのなかに、あの花屋さんのポイントカードがあった。
見ると、2000円分くらいたまっている。
これまでなんとなく使えずにいたのだ。
鉄郎はしばらくそのカードを眺め、彼女と交わした言葉のひとつひとつを思い出した。それから意を決し、「さよなら、メーテル……」とつぶやきながら、それをゴミ箱に入れ、そのゴミ袋を回収所に持っていった。今日は可燃ゴミの日なのだ。

そうして、仕事をはじめた。
しかし、どうも集中できない。
昨日で集中力を使い切ってしまったようだ。
そこで鉄郎は「999」に乗り、ネットサーフィンの旅に出た。
そして、なんとなく、あの花屋さんを検索してみた。
彼女はブログをやっていたはずだ。
もしかしたら、ぼくに向かって何か暗号を出しているかもしれない。
カタカタ、ポン。
「!!!」

なんと、彼女は惑星「西荻窪」で新しい店をオープンしていたのである。
歓喜が泉のようにわきだし、鉄郎はウホウホダンスを踊った。
そうして手足を交互に振り上げて踊っている最中、ハッとあることに気づいた。
「ポイントカード……」
2000円分のカードを、さっきゴミ回収所に……。
鉄郎は慌てて部屋を飛び出し、玄関のドアを開けた。
ちょうどゴミ回収車が、ウチの前のゴミを回収し終え、走りはじめたところだった。
鉄郎は走った。
ゴミ回収車を追って全力で走り、そして叫んだ。
「メーテルー!」







| 生活 |
ぜひぜひ
このところ、ブログのタイトルに相違して、エッセイらしいものを書いていませんが、今日もただの案内です。苦笑。
現在出ている自転車専門雑誌『サイクルスポーツ』のぼくの連載、『ぼくの細道』を、よかったら読んでください。立ち読み大歓迎。沖縄本島編の、その3、最終話です。いつもそうだけど、今回はとくに、多くの人に読んでほしいな、と思いながら書きました。

またP62〜63に、「ツーリングを100倍おいしくする方法」として、ぼくのインタビュー記事ものっています。こちらはカラー写真満載。


ああ、これではあまりにも手抜きかつ業務的な更新ですね。
えっと、日記でお茶を濁します。
たったいま、連載記事と、それ以外のエッセイを1本、やっと書き終えました。
昨日の夜中あたりは、「無理、終わらん」と真剣に青ざめていたのですが、やればできるもんですね。ああ、終わった。ああ、気持ちいいいいい。

今日の晩飯はネギと豚の炒めもの、プロヴァンス風です。










| 生活 |
御礼
おととい、昨日と、トークライブに来てくださったみなさん、ありがとうございました。
久しぶりにキナックでのライブ、ぼくとしても楽しくやれました。
それに、自分の作品を読んでくださった方たちとの交流は、やはり自分にとってはとてもありがたい時間です。うれしいし、めっちゃやる気が出ます。
それと、ライブを企画し、プロデュースしてくれたリーくん、いつも本当にありがとう。
キャンプ企画もやろう!





| 生活 |
雨ですが
しまなみ海道〜松山の取材から帰ってきました。
3日間とも晴天で、気持ちよく走れたし、うれしい再会もありました。
やっぱ旅はいいですねえ。
ああ、なんかこのフレーズ、すごい月並みだけど、でもほんとそうなんですよねえ。だからそう書くしかないんだよなあ。

で、これからキナックでトークライブです。
ミクシィというものがありまして、そこにぼくのコミュニティというのがあるそうです。
このブログで何度も紹介させてもらっているリーくんが発起人となって、そのコミュニティに入っている人を対象としたトークライブを、今晩やることになりました。
リーくん、いつもありがとう。
ちなみにぼくはミクシィには入っていません。
弱い人間なので、それに入ると、自分の評判とか気になりそう。という思いで入っていません。でもぼくのコミュニティに参加してくださっている方には感謝、感謝です。

で、明日はご近所さんつながり&リーくんの友だちを対象にしたライブをやります。
なにせ、店(キナック)がこじんまりしたところなので、たくさんの人を呼べません。なので、今回は告知せずにライブをすることになりました。
という趣旨だったのですが、4人のキャンセルが出たそうです。
なので、明日のことですけど、もしよろしかったら。

場所:キナック(上野駅から徒歩2分)
日時:4月26日(日)18:00〜21:00(途中休憩を入れながらゆるりと)
お申し込み:yusuke-kinack@hotmail.co.jp(携帯の連絡先をお願いします)

場の雰囲気で、ブルラグのビデオを流すかも、です(笑)。




 




| 生活 |
バタバタと旅へ
いまから取材に行ってきます!
たぶん、松山へ。
東京駅に着いたときの気分で変わるかも、ですが。
こんなことでいいのだろうか。
では!
| 生活 |
日々書いてます
また更新サボってしまいました。
友人から「いきづまっているのか」というメールをもらったりして、あ、更新が滞るとそうとられる場合もあるのか、と反省。ちゃんと元気にやっています。

先週は連載記事の執筆に加え、予期せぬ仕事をいただきまして。
新潮文庫の解説!
『くさいはうまい』などで知られる、小泉武夫さんの新刊本です。
解説を書くのは初めてだし、しかもあの小泉さんの本に自分のような若輩ものが……と気後れもし、それになにより巨大なプレッシャーもあって、ちょっと大変でしたが、先日、原稿をおそるおそる出したところ、編集者からOKをもらいました。はあ〜。期末テストを無事終えた気分です。

って、まだまだ気をゆるめている場合じゃありません。
自分の本もいい感じで仕上がってきました。
もうひとがんばりです。
マジ、期待してください!




| 生活 |
ひとつ終わって、京都へ
今日やっと一区切りつきました。
新しい本の原稿を提出しました。
といっても、まだほんの第一段階。すべて終わるまでには、まだまだ大きな山を越えていかなければなりませんが。
それ以上に、ほかの仕事の締め切りがヤバイんで、まったく達成感を味わうこともなく、次の仕事やっています。仕事があること自体とてもありがたいことなんだけど、もっとスピードを上げなくちゃ。ほんとに。

本は、期待してください。
ぼくとしては、これまででいちばん読んでほしいものになりました。もっとも、本を書くたびにそう思うのですが。

さて、明日は京都です。
なんと結婚式の二次会で、旅の講演をします。
しかも新郎新婦およびその関係者とはまったく面識がありません。
新婦さんが、ぼくの本を読んで、自分たちの結婚式で講演を、と依頼されたのです。
さあ、どんな人だろ?



| 生活 |
ベルギー人の友だちの失敗談
幼馴染から「ブログを更新しろ」というメールが、彼の職場から来た。
お前も仕事しろよ。

でもほんと、更新なまけてすみません。
先週今週とちょっとがんばりどきなのです。
でも、ちょっと息抜き。
簡単な更新になりますが。


ベルギーの友人、ウラたちが日本ツアーを終えて、昨日東京に帰ってきた。
で、近くの善福寺川の桜トンネルに連れていったら、その美しさに目をまん丸にしていた。
さらに日本を味わってもらおうと、桜の下で日本酒を飲んだ。そこでいろいろ聞いたのだが、どうやら日本ツアーは本当に楽しかったようだ。とくに日光東照宮と京都の三十三間堂がよかったそうである。
それと、18年前に日本に来たときは、電車のなかでジロジロ見られることにかなり窮屈な思いを抱いたそうだが、それが今回なくなっていたのが印象的だったとか。あと、街をゆく自転車が前より増えていることにも驚いたそうな。

失敗談は? と聞くと、奈良の鹿せんべいを自分たちで食べたこと、だとか。
しかもそれを美味しいと思ったそうだ。ぶはは。




| 生活 |
炎のハヤシライス
うれしいと思う瞬間が、自分には2つあって、ひとつは文章をほめられたとき。
もうひとつは、手料理を出して、食べた人の顔が輝いたとき。
いま、その後者の機会に恵まれている。
(前者のほうは随時受付中)

ぼくの後援会を作ってくれた山本くんが、今週の日曜からやってきて、拙宅に居候している。
彼は地元和歌山でデザイン関係の仕事をしていて、5年ほど前から、「東京でまとまった時間を過ごし、いろんなものを見て、いろいろ吸収したい」と語っていた。今回やっとそれがかなったわけだ。
ちなみに彼は真田広之に似たイケメンである。

で、彼はアーティストなので、やはり個性的なことをする。
手土産として拙宅に持ってきたのは、タマネギだった。それも大量。
なので、昨日はハヤシライスを作った。
それとポテトサラダ。
山本くん、まずはポテサラにスプーンをのばし、パクリ。
「うおっ」
続いてハヤシライスをパクリ。
「おおおっ」
さらに、3日前に作った鶏ネギゴマ炒めの残りを食べて、
「うおおおっ。……石田さん、マジ、料理上手ですね」
と真田広之のような目をまん丸にして、しみじみ言うのである。

山本くん、いつまでも居候していいぞ。


ふむ。
こんなオチに納得しているわけじゃない。


| グルメ |
★新刊が発売されました
『自転車お宝ラーメン紀行』 レトロな路地や古い喫茶店など都内の“お宝”を探索しつつ、昔ながらのラーメンを目指す大冒険(?)紀行です。産業編集センター刊。1100円+税。感想お待ちしています!→yusukeishida@hotmail.com
★dancyuウェブに連載中
食の雑誌「dancyu」のウェブサイトに「世界の〇〇〜記憶に残る異国の一皿〜」というアホな記事を書いています。→https://dancyu.jp/series/ikokunohitosara/index.html
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