2009.04.29 Wednesday
「メーテルー!」と汽車を追いかける鉄郎
このタイトル。
アニメ史に燦然と輝く、『銀河鉄道999』のラストシーンである。
ぼくはこれを大学時代にテレビで見て、号泣した。
いちおう書いておくと、こんな感じだ。
メーテルをのせた汽車がゆっくり出発する。
鉄郎はそれに合わせて、プラットフォームを歩き出す。
汽車は加速しはじめる。
鉄郎も徐々に駆け足になっていく。
メーテルは窓から顔を出し、風でなびく髪をおさえながら、鉄郎を見ている。
鉄郎は全力で走りながら、何度も叫ぶ。
「メーテルー!」
そのシーンを頭の隅に浮かべながら、以下を読んでいただきたい。
阿佐ヶ谷のウチの近所に、小さな花屋がある。
メーテルに似た、哀愁の漂う美女がひとりでやっている。
正直、あまりはやっていそうにない。
チェーンの花屋と比べるとやはり値段は高いし、品揃えもよくない。
でも、近所のよしみである。
「がんばって!」というテレパシーを送りながら、花や観葉植物はいつもそこで買っていた。
べつに店主が美女だからではない。
(ちなみにこの花屋さんのことは以前にも書いた→こちら)
ところが先日、その店の前を通り過ぎるとき、異変に気づいた。
いつも花であふれていた、6畳もないような小さなそのスペースが、ガランとしていた。花は1輪もなく、もぬけの殻になっていた。
ぼくはその前を過ぎて、商店街を歩きながら、地下への階段を一歩一歩下りていくように沈んでいった。
「守ってあげられなかった……」
阿佐ヶ谷の鉄郎はそんなふうに思った。
これが1ヶ月ほど前の話である。
哀しみにも、やがてなれていき、鉄郎は日々の仕事にうずもれていった。
今朝になって仕事もひと段落したので、さっき部屋を整理した。
いろんなものをチェックしながら、不要なものを捨てていった。
そのなかに、あの花屋さんのポイントカードがあった。
見ると、2000円分くらいたまっている。
これまでなんとなく使えずにいたのだ。
鉄郎はしばらくそのカードを眺め、彼女と交わした言葉のひとつひとつを思い出した。それから意を決し、「さよなら、メーテル……」とつぶやきながら、それをゴミ箱に入れ、そのゴミ袋を回収所に持っていった。今日は可燃ゴミの日なのだ。
そうして、仕事をはじめた。
しかし、どうも集中できない。
昨日で集中力を使い切ってしまったようだ。
そこで鉄郎は「999」に乗り、ネットサーフィンの旅に出た。
そして、なんとなく、あの花屋さんを検索してみた。
彼女はブログをやっていたはずだ。
もしかしたら、ぼくに向かって何か暗号を出しているかもしれない。
カタカタ、ポン。
「!!!」
なんと、彼女は惑星「西荻窪」で新しい店をオープンしていたのである。
歓喜が泉のようにわきだし、鉄郎はウホウホダンスを踊った。
そうして手足を交互に振り上げて踊っている最中、ハッとあることに気づいた。
「ポイントカード……」
2000円分のカードを、さっきゴミ回収所に……。
鉄郎は慌てて部屋を飛び出し、玄関のドアを開けた。
ちょうどゴミ回収車が、ウチの前のゴミを回収し終え、走りはじめたところだった。
鉄郎は走った。
ゴミ回収車を追って全力で走り、そして叫んだ。
「メーテルー!」
アニメ史に燦然と輝く、『銀河鉄道999』のラストシーンである。
ぼくはこれを大学時代にテレビで見て、号泣した。
いちおう書いておくと、こんな感じだ。
メーテルをのせた汽車がゆっくり出発する。
鉄郎はそれに合わせて、プラットフォームを歩き出す。
汽車は加速しはじめる。
鉄郎も徐々に駆け足になっていく。
メーテルは窓から顔を出し、風でなびく髪をおさえながら、鉄郎を見ている。
鉄郎は全力で走りながら、何度も叫ぶ。
「メーテルー!」
そのシーンを頭の隅に浮かべながら、以下を読んでいただきたい。
阿佐ヶ谷のウチの近所に、小さな花屋がある。
メーテルに似た、哀愁の漂う美女がひとりでやっている。
正直、あまりはやっていそうにない。
チェーンの花屋と比べるとやはり値段は高いし、品揃えもよくない。
でも、近所のよしみである。
「がんばって!」というテレパシーを送りながら、花や観葉植物はいつもそこで買っていた。
べつに店主が美女だからではない。
(ちなみにこの花屋さんのことは以前にも書いた→こちら)
ところが先日、その店の前を通り過ぎるとき、異変に気づいた。
いつも花であふれていた、6畳もないような小さなそのスペースが、ガランとしていた。花は1輪もなく、もぬけの殻になっていた。
ぼくはその前を過ぎて、商店街を歩きながら、地下への階段を一歩一歩下りていくように沈んでいった。
「守ってあげられなかった……」
阿佐ヶ谷の鉄郎はそんなふうに思った。
これが1ヶ月ほど前の話である。
哀しみにも、やがてなれていき、鉄郎は日々の仕事にうずもれていった。
今朝になって仕事もひと段落したので、さっき部屋を整理した。
いろんなものをチェックしながら、不要なものを捨てていった。
そのなかに、あの花屋さんのポイントカードがあった。
見ると、2000円分くらいたまっている。
これまでなんとなく使えずにいたのだ。
鉄郎はしばらくそのカードを眺め、彼女と交わした言葉のひとつひとつを思い出した。それから意を決し、「さよなら、メーテル……」とつぶやきながら、それをゴミ箱に入れ、そのゴミ袋を回収所に持っていった。今日は可燃ゴミの日なのだ。
そうして、仕事をはじめた。
しかし、どうも集中できない。
昨日で集中力を使い切ってしまったようだ。
そこで鉄郎は「999」に乗り、ネットサーフィンの旅に出た。
そして、なんとなく、あの花屋さんを検索してみた。
彼女はブログをやっていたはずだ。
もしかしたら、ぼくに向かって何か暗号を出しているかもしれない。
カタカタ、ポン。
「!!!」
なんと、彼女は惑星「西荻窪」で新しい店をオープンしていたのである。
歓喜が泉のようにわきだし、鉄郎はウホウホダンスを踊った。
そうして手足を交互に振り上げて踊っている最中、ハッとあることに気づいた。
「ポイントカード……」
2000円分のカードを、さっきゴミ回収所に……。
鉄郎は慌てて部屋を飛び出し、玄関のドアを開けた。
ちょうどゴミ回収車が、ウチの前のゴミを回収し終え、走りはじめたところだった。
鉄郎は走った。
ゴミ回収車を追って全力で走り、そして叫んだ。
「メーテルー!」