石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


※親サイトの『7年半ぶっ通しチャリ世界一周』はパソコンを新しくしたためにストップしたままです。
近況報告や各種案内は、もうしばらく、当ブログにて行います。
79円のサンマとサッカー
隣人Mくんと、互いの自炊料理を持ち合って、テレビの前に座った。
サッカー、日本代表 vs ベルギー代表。
ネギ豚炒めとサンマの塩焼きをそれぞれつつき、試合を観ながら、ふたりして何度も顔を見合わせてしまった。
「いつからこんなチームになったんだ?」

前回のチリ戦もよかったようだが、ぼくもMくんも用事があって見ていなかった。
今日の試合も4−0の快勝。
去年までのチームとはぜんぜん違う。試合がおもろい!
明確なコンセプトを持って、時間をかけて作っていけば、チームはここまで変貌するということか。
でも今日のベルギーのプレスはたいしたことがなかった。後半も厳しかったのは最初だけ。その点を考慮しないと。
真価が問われるのは、次のウズベキスタン戦だ。
ただ、いずれにしても、俄然おもしろくなってきた!






| スポーツ |
目を合わさない
隣の部屋に、陰気な感じの男が住んでいる。
まだ若い。学生かもしれない。
彼はアパートのほかの住人に会わないよう、最大限の努力を払う。
廊下で鉢合わせると、顔を合わさないように下を見て、走って自室に入る。あるいは小走りで外に出かけていく。
また、たまたま同じタイミングでドアを開けようとすると、彼はドアの向こうで息をひそめ、こっちが完全に出て行くのを待っている。

以上は、東京のアパートに住む友人から、数年前に聞いた話だ。
そいつは変態か? とぼくは思った。
でも、こういうのは珍しくないのだ、とぼくも東京に住みはじめて思った。
ほかにもいくつかそういう例を見たし、何より。
ぼくの左隣に住むYさんもそうなのだった。

このブログに何度も書いているが、右隣に住む映画監督のMくんとは仲良くさせてもらっている。部屋をしょっちゅう行き来し、酒を飲み、変態話をし、互いの作品を批評し合う。彼の映画にも出る(笑)。ぼくが取材や講演で家を留守にするときは、Mくんは郵便物や宅急便の荷物を預かってくれる。

隣人同士、困ったときは助け合う。これがふつうだと思うのだけど、どうやらMくんとぼくのこういう関係のほうが、東京では珍しいのかもしれない、と最近思うようになった。

左隣のYさんの話である。
1年前に彼が引っ越してきたとき、ぼくはさっそくチーズケーキを持っていった。
逆やろ、という気もするが、それはまあどうでもいい。
Yさんは非常にうれしそうにそのチーズケーキをもらってくれ、立ち話もした。
それからも、人からいろんなものをもらうたびに、右隣のMくんだけでなく、左隣のYさんにもわけてあげた。Yさんはいつも笑顔でもらってくれた。ときには彼と半同棲している彼女さんが出てきて、彼女も笑顔でもらってくれた。

しかし、Yさんも彼女さんも、たまたまぼくと部屋を出るタイミングが同じになると、ドアの向こうで身を固くし、息をひそめるのである。
あいさつも、目が合えば愛想よく返してくるが、家の近くで会って、ぼくが気付かなければ、できるだけ顔を合わさないようにする。
Mくんに対しても同じらしい。

どうやら彼らも、隣人との接触を最小限にしたい、という考えのようだ。
しかしそんな彼らには申し訳ないが、ぼくは往々にして廊下で料理を作る。
(そのわけはこちら
それに朝はほぼ毎日、廊下で日光浴をしながらコーヒーを飲み、トーストを食べる。だから彼らは、なかなかぼくとの接触を避けられない。
(こんなことをしているから嫌われるのかもしれないが)

ある夜、Mくんと鍋をしているときだったか、Yさんをなんとかして、ぼくたちの仲間に引き入れよう、と画策したこともある。でもけっきょくぼくたちも遠慮して、彼のドアを叩き、「一緒に鍋でもどう?」とはいえなかった。

そんなYさんと彼女さんが、昨日、出ていった。
引越しをしているあいだ、外の廊下でコーヒーを飲んだが、そのあいだYさんも彼女さんも部屋から出てこなかった。
それからぼくは部屋に戻り、ずっと仕事をしたが、けっきょく彼らはひとこともあいさつせずに、出ていった。
結婚するのかもしれない。
だといいな、と思う。

夕方、オフィスサンマルクに行って原稿を書いた。
ぼくの前の席によくしゃべるおばさんが来た。
えらい賑やかだな、と思って顔をあげると、おばさんはひとりでしゃべっていた。
ここに来ると3日に1度ぐらいはこういう人を見る。
おばさんは携帯でメールを打ちながら、
「今日は、サンマルクに来て、コーヒー飲んでます。あなたは、どこで、何してますか。はい送信。まったく、返事ちっともよこさないから、仕方がないわ。どういうつもりなのかね、ほんとに。あら、トイレ行きたくなってきたわ。でもコーヒーここに置いていって、大丈夫かしら。誰も盗らないかしら?」

まわりの人は、そのおばさんを一度は見るが、それからは彼女の姿が目に入らないようだった。

おばさんはそれから2時間ほど、ひとりでえんえんとしゃべっていた。





| 生活 |
心臓も凍る、恐怖の画像。
いまからお見せするのは、恐怖画像です。
心臓の弱い方はご遠慮ください。


昔、B級ホラー雑誌か、あるいは週刊誌で、サンタクロースのようにたっぷりヒゲを生やした白人女性の写真を見た。
記事を読むと、彼女は何らかの理由で、地下室でずっと過ごしていたらしい。するとヒゲが生えてきた、というのだ。

最近、ぼくの体に起こった「異変」に気づいたとき、その記事が頭をかすめた。

ぼくは手の甲にちょっと自信がある。
なんと毛がない。
毛だけでなく、毛穴すらない。スベスベのまんじゅうのように美しいのだ。
ところが、右手首が腱鞘炎になり、この約4か月、包帯を巻いている。
すると、スベスベまんじゅうに毛が生えてきた。
それも毛むくじゃらオヤジのような太い醜い毛が。チョロチョロっと。

地下室女の症例をあわせて考えると、光が、体毛の育成に関係あるのではないかと思う。
つまり、光がさしにくい、陰(かげ)になっている部分の体毛は育ちやすいのではないか、と。
たとえば、どういう部分かというと………。
ほら……。





わき毛とか。

やだなあ。ほかに何を想像したんですか?

というバカな話をしたいのではなく、今日は背筋も凍る話である。
サンタクロースヒゲの女に匹敵するショック画像を、いまからお見せします。
まずは、現在の右手の状況。
このように四六時中、包帯が巻かれている。





で、この包帯を取ると……。

ジャーン。








以上。
なんか文句あっか!?









| - |
『フォーブス』のエッセイ
アメリカの経済誌『フォーブス』の日本語版にエッセイを書きました。
最後から3ページ目の「喜怒哀楽」というコーナー。
毎月4人の方が書かれているようで、今回ぼくは「喜」を担当。
元気の出る話です。ぼく自身も、とても勇気付けられました。
あ、ちなみにいま出ている7月号です。
ということで、またも告知だけで更新してしまいます。あらよっと。


| お仕事 |
おとといと昨日のこと
金曜日、新刊本のデザインの打ち合わせをやった。
編集者とデザイナーとぼくの3人で。
これまでに撮った日本各地の写真を見ながら。

「活字を追いながら、想像のなかで旅をしてほしい」
という考えから、今回の本も写真ナシでいこうか、という話もあったのだけど、いろいろ意見を出し合いながら、ただいま検討中、というところ。
みなさんはどっちがいいです?
って、誰に聞いても「写真はあったほうがいい」って言うんですけどね(笑)。
これまでの本についても、「もっと写真があれば」という意見が多いんですよねえ、やっぱ。
ま、今回はそのへんも勘案して、決めていこうと思います。
とか言いながら、また1枚も入らなかったりして。

で、昨日は久しぶりに酔拳の師匠のウチへ。
師匠は第三土曜日に自宅を開放し、「サンド会」というのを開いている。「誰でも来たい人は来なさい、酒を持って」という酔狂ここに極まれり、な会だ。
こんなことをしながらも、師匠はじつはすごい会社のすごい人なのだけど、そんなことはおくびにも出さず、酒を楽しく飲んでりゃいい、という感じの人で、ぼくのような人間とでも気楽につきあってくれる。ここんとこ、ずーっと引きこもって本を書いていたので、何ヶ月かぶりの参加となったが、いやあ、やっぱりおもしろい。
何をして生きているのかわからないダンディーなTさんと、アフリカのグッズを販売しているもうひとりのTさんと、ぼく、そして師匠、という4人で、ビールと焼酎とチヂミをやりながら、自殺について話し合う、というとても健全な夜だった。



| 生活 |
新作はこんな本です!
新しい本が出ます。
発売予定日は7月25日。
前にも書きましたが、今度の本は日本紀行です。
『サイクルスポーツ』という雑誌に、3年前から「ぼくの細道」という記事を連載していて、定期的に自転車で日本を旅しています。「ぼくの細道」では、その旅で起こったさままざまなことを、エッセイ風につづっています。

そのときの旅をベースに、単行本用に書き直したのが、今度の本です。

これまでの世界一周に比べ、スケールが小さくなり、ネタとして弱いんじゃないか、と思われる方がいるかもしれません。
でもぼく自身は書いていてそれはまったく感じませんでした。
理由ははっきりしていまして――。

これまでの著書でもそうだったのですが、ぼくは自分の本を通して、「俺はこんなすごいことをやったんだ」ということを伝えたかったわけではありません。そもそも自転車世界一周は冒険でもなければ、自慢できるようなものでもなく、たんなる遊びです。ぼくはそう思っています。

ぼくが書きたかったのは人間ドラマ――人と会い、どう行動し、何を感じるか。
それともうひとつは、旅の空気。風みたいなもの。読んでいて、自由な空気に吹かれ、気持ちよくなる、気持ちが豊かになる、そういうもの。
だから、それは世界旅行だろうが、日本旅行だろうが、本質的には何も変わりません。
むしろ、7年の旅を1冊にまとめるという力技がこれまでの著書には必要だったのが、今度の本はそうじゃない。心の機微や、人をとりまく風景の細かな移り変わり、それらをていねいに描き、よりいい形で伝えることができる。
「今度の本が代表作です」と前々からここに書いているのはそういうことです。

もちろん、これまでどおり、文章はあくまでテンポよく、笑いあり、涙あり、の楽しい読み物になっていると思います。
そして、これまで以上に、読んでくださった方もいっしょに旅の空気を感じてもらえると思います。
期待していてください!

うーん、なんか観念的な話ばかりになってしまいました。
具体的な中身については、またおいおい書いていきます。たぶん。





| 著書について |
じつはこんな本なんです
「本の原稿を書き終えました!」
と、一昨日ここに書いたけど、じつはそのとき遠慮していました。
「メチャいいのができました!」
と書きたかったけど、ちょっと気後れして書きませんでした。
なぜなら、こういう理由からです。

何度も何度も推敲を重ね、言葉を磨き上げていくと、そのうち言葉がイキイキと動き出した、踊り始めます。
今回、それがかなり強くて、書いているぼく自身はどんどん気持ちよくなって、
「ああああっ! めっちゃええ感じやあああっ! あはああん」
とひとり身もだえし、床の上を転げ、泡を吹いていました。
ですが、なにせ文筆作業はひとりの世界。知らぬ間に独善におちいって目も当てられない作品になっている、という可能性が頭の隅からぬぐいきれませんでした。
張り切って原稿を提出し、
「最高のものができました! みなさん読んでください!」
とここに書いたあと、編集者から冷たく「これじゃダメですね」と突っ返されたりしたら…などとチキンなことを考えてしまうわけです。

で、提出してから、いちばん最初の読者である編集者の感想を、今か今かと待ちました。それが昨日来ました。
「!!」

ということで、胸を張って書きます。
みなさん、読んでください!

で、ここから、本の内容について書こうと思ったのですが、長くなりそうなので、明日にします(笑)。
| 生活 |
ふぬけ更新
本の原稿をあげたとたんに、おもいっきり気が抜けてしまいました。
エネルギーを使い果たした感じです。
体が、鉛を溶かして詰められたみたいに、なんかめちゃ重いっす。
だ、だるぅ。

げ。
こんなの書いていると、ますます体が重くなってきた!

か、軽いぞ!
羽毛布団の羽のように軽いぞ!
うさぎのように飛びまわれるぞ!



| 生活 |
原稿出すと、いい知らせが。
ふう。
新刊本、やっと大きな山を越えました。
原稿、編集者に出したところです。ああ、めっちゃスッキリ。
といっても、まだまだ作業は残っていまして、これからさらに何度もチェックを重ね、磨き上げていきます。
でもとりあえず、いちばんの山を越えました。
長かったなあ。
今回、本のコンセプトみたいなものが固まるまで、ちょっと時間かかりました。
でも時間かけただけのことはあると思います。
いい感じです!
発売は7月の予定です。

で、原稿提出のこのタイミングで、いい知らせをいただきました。
『行かずに死ねるか!』文庫版が増刷されました!これで6刷り。
読んでくださったみなさん、本当にありがとうございました!
次の本もたくさんの人に読んでもらえますように。



| 生活 |
間寛平さんから
朝の早い時間に、オヤジから電話があった。
何事かと思えば、「寛平のユーチューブを見ろ」と言う。
間寛平さんは、現在、アースマラソンと題し、ヨットやマラソンで地球を一周する、という大きなチャレンジをやっている。その模様はブログや動画などで日々アップされている。
「何か感じることがあるはずや」
とオヤジは言う。
で、見てみたら、本当にボロボロ泣いた。
寛平さんが、清志郎さんの訃報を聞いたときのVTRだ。
ブログには、「本日、ご葬儀が行われる忌野清志郎さんへの追悼の気持ちを込めて、24時間限定で公開します」とある。
ぼくもまた、追悼の気持ちをこめて、ここにお知らせします。
こちら
たしかに、何か残るはずです。
自分も、生きているあいだに、精一杯がんばろう、とあらためて思いました。
繰り返しますが、24時間限定ですので、お早めに。


| 生活 |
★新刊が発売されました
『自転車お宝ラーメン紀行』 レトロな路地や古い喫茶店など都内の“お宝”を探索しつつ、昔ながらのラーメンを目指す大冒険(?)紀行です。産業編集センター刊。1100円+税。感想お待ちしています!→yusukeishida@hotmail.com
★dancyuウェブに連載中
食の雑誌「dancyu」のウェブサイトに「世界の〇〇〜記憶に残る異国の一皿〜」というアホな記事を書いています。→https://dancyu.jp/series/ikokunohitosara/index.html
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