石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


※親サイトの『7年半ぶっ通しチャリ世界一周』はパソコンを新しくしたためにストップしたままです。
近況報告や各種案内は、もうしばらく、当ブログにて行います。
マイケルの死についてふと思ったこと。

伊豆の旅館でマイケル・ジャクソン死亡のニュースを見た。
このようなニュースを、非日常の状況下――伊豆の旅館――なんかで見ると、「え……?」と余計に頭が空っぽになる感じがする。見慣れない畳の部屋や、窓の向こうの海。これからマイケル・ジャクソンの死を思い出すたびに、伊豆のこのひなびた旅館も頭に浮かぶのだろうな、と思った。

今の20代以下の人にとって、マイケルは少年への性犯罪や整形など、ゴシップネタの印象ばかり強いらしい。ま、テレビで言っていたことなので、まともに受け取るのも何だけど、でも世代間のイメージのギャップは確実にあるのだろう。
ぼくは彼の音楽を熱心に聴いたほうではないけれど、でもやはりスーパースターなのだという印象は強く持っていた。だから今回のニュースにはちょっとした喪失感がともなった。
はたしていまの音楽界で彼と並ぶスターがいるだろうか、と思う。ちょっと思いつかない。

あるいは、いまはスーパースターが生まれにくい時代なのだろうか?
よくはわからないけれど、なんとなく、マイケルがいた時代に青春を過ごしたことは、マイケルがいない時代に過ごすよりよかったんじゃないかな、という思いがふと起こった。理由はうまく説明できないんだけど。

そんなぼくたちの青春時代には、学校にひとりやふたりはムーンウォークをして調子にのっている生徒がいたものだ。いま考えると彼らは致命的に知能が低かったのだろうと思う。ぼくのことである。

今度、講演のときに、よかったらリクエストしてください。
空中移動をしているかのような素晴らしいムーンウォークを披露いたします。

| 生活 |
また行ってきます。
昨日の夜、山形から帰ってきました。
で、今日はいまから(午前9時)伊豆へ行ってきます。2泊3日の取材です。
さすがにちょっときついな……。元来がインドア派なので、連チャンの旅はどうも……。
でもま、数年前までは、「昨日はトルコで今日はシリア」という生活をしてたからなあ。って、ぜんぜん気休めにならないな。









| - |
さて、「感じのいい日本旅館」の正体は?
山形のある学校で講演することになり、前日に1泊することになったのだが、その宿がちょっと楽しみだった。
講演斡旋業者の女性社員が「とても感じのいい日本旅館らしいですよー」とえらく熱心に言っていたからだ。
どんなところだろう? とやはり気になった。調べるのは造作ない。ネットでカタカタポンだ。おそらくホテルの外観も見られるだろうし、お客さんの評判だってたぶんどこかにのっている。まったく、つまらない世の中だな。
ということで、ぼくは何も見ずに出かけた。山形のその町まで電車で5時間。そのあいだ、どんな宿かあれこれ想像しながら行くのがいいじゃないですか。それが旅情ってもんでしょう。

とまあ、昨日はここまで書いたのだけど(だいぶ変えているが)、さて、その結果は……。

めちゃめちゃいいいいい〜!
余目(あまるめ)ホテル、というところ。余目駅のまん前にある。
いわゆるビジネス旅館てやつで、素泊まり4000円、二食付で5900円、と安価ながら、なんかたまらなくいいんですよ。
大正時代の建物には古い木の甘い匂いが漂っていて、部屋には床の間があって、空間に広がりがあって。それから窓には障子があって、外の自然とつながっているような日本家屋特有の開放感があって。

晩飯も近海でとれたトビウオの刺身、ヤナギノマイの煮付け、鶏肉の唐揚げ大根おろしのせ、豚肉の梅しそロール、茶碗蒸し、エトセトラエトセトラ、と値段を考えれば信じられないぐらいにゴージャス。野菜もできるだけ自家製を使っているとか。

そして何より、館内のあちこちに細やかな気配りが行き届いているんです。
風呂場には「体調の悪い方、我慢しないでフロントへ。おクスリあるよ(^。^)」という張り紙や、「部屋でネットをしたい方はフロントまで。いろいろお貸しします」や「ズボンプレッサー、電気スタンドお貸しします。なんなりとお声かけください(^。^)」という張り紙も。それに部屋も風呂もトイレも非常に清潔。丹念に掃除されていることがわかります。美点をあげればきりがないのでこのへんにしておくけれど、なんというか、すごくやる気のある温かい宿だな、って感じがするんです。これほど居心地のいい宿もそうはないなあ。

で、若女将としゃべって納得しました。この人がめっちゃ「陽」のエネルギーを出しているんですよね。おまけにかわいいい〜!(結局それかよ)
好奇心旺盛&話好きのようで、晩飯を食べながら、「仕事に戻らなくて大丈夫なのかな?」と心配になるくらい、いろいろおしゃべりしました。で、突然、女将さんが「私、石田さんとほぼ同い年ですよ」と言ったのでびっくり。20代後半か30代前半だと思っていました(ぼくはすでに不惑です)。でもなぜ彼女はぼくの歳を知っていたんだろう? それを尋ねると、女将さんは純真無垢な少女のような笑顔で、
「宿帳の生年月日見ましたから」
ああ、いいなあ〜!
え? このよさがわからない?
そうですか。



仕事柄、こういうタイプの駅前旅館にはかなり泊まっています(そのなかでも、余目ホテルは最高ランクですね)。
もうずいぶん前から、この手の宿は、自室に風呂トイレのある洋風のビジネスホテルにとってかわっているようですが、ぼかぁ断然旅館派ですね。安いし、部屋も広いし、ベッドより布団のほうがぜったい気持ちいい。それにビジネスホテルってなんか独房みたいじゃないですか。
みなさん、日本の誇る文化、駅前旅館をもりたてていきましょう!

晩飯(半分ぐらい食べてしまいましたが)↓




朝飯も豪華! ↓


そしてこれが外観↓

| 生活 |
楽しみな日本旅館
いまから山形です。中学校で講演。
なんでも、今晩用意してくれた宿が、「風情ある日本旅館」で「とても感じのいい宿」なのだとか。ただしメールではなく、電話でぼんやり聞いていただけなので、上の語句が正しかったのかどうかちょっと自信がない。もしかしたらぼくの希望的観測が幻聴を生み出しただけかもしれない。でもとりあえず、子どものようにワクワクしている。

韓国で取材したぶんの原稿がまだぜんぜんできていないので、今宵は床の間のある部屋で、しっとりタバコをくゆらせながら原稿を書こうと思う。井伏鱒二や太宰治が峠の茶屋に蟄居して執筆したように。
まあ、こんなふうに書いている時点で、ぼく自身が「オチ」を期待しているのだけど。
あ、ちなみにぼくはタバコはやりません。





| 講演 |
やっと!
二度目の著者校正を終え、とうとう完全に脱稿しました!
いやあ、長かった!
デザインのほうも各章の扉ページや、目次、奥付などが徐々にできてきて、「おお、地図はこう入るのか〜」とニヤニヤしたり、「目次、スッキリまとまってるなあ」と感心したり。ひとつの本が完成に向かっていく様を楽しんでいます。このプロセスがたまらないんですよねえ。とりわけ脱稿したあと、舞台を降りて一観客となって見物している状態がいい(笑)。
発売は7月25日の予定です。
お楽しみに!
| 著書について |
やさしい韓国人のみなさん
 韓国の村上春樹ファン6人に会ったと昨日書いたけれど、うれしいことに、そのうちの3人がぼくの本も読んでくれていた。『行かずに死ねるか!』は向こうでは教育関係か何かの推薦図書になっていたそうだ。「ベストセラーでしたよ」とひとりの女性は話してくれた。とてもうれしい話だったが、ただ「ベストセラー」の定義がなんなのかはよくわからない。とりあえず、著者にはその実感がない。著者の住んでいるアパートはボロい。
ソウルの紀伊国屋みたいな書店に行って確認したら、『行かずに死ねるか』は9刷になっていた。

ちなみに台湾語版のほうは現在15刷。
この数字の差はそのまま自転車熱の差なのかな、と思う。あるいは、もしかしたら国民感情の違いもあるのかもしれない。

韓国では自転車熱は高いとは言い難い。それでも今回行ってみると、ぼくが初めて韓国に行った7年前――世界一周のとき――と比べ、道を行くロードバイクが明らかに増えていて、ちょっと驚いた。それと、美人さんも増えたような気がした。

話を戻すけれど、韓国の村上春樹ファンたちと晩飯を食べたときのこと。
ぼくの抱いている韓国人のイメージどおり、非常に気のいい人たちばかりで、終始和やかなムードが漂っていた。
で、ぼくの本の話になったとき、ぼくは照れを隠すためにこう言った。
「君たちが思っていたより、ぼくはオッサンでしょ。あはは」
気のいい彼らはそれには何も答えず、人のよさそうな顔でニコニコ微笑んでいた。

| 生活 |
韓国で、村上春樹を読む人たちに会って。
韓国から帰ってきました。
村上春樹ファン6人に会って話を聞いてきました。
いやあ、向こうの村上熱、熱いです。6人というサンプル数だけで言うのもなんですが、もしかしたら日本の読者以上に村上熱は熱いのかな、と思いました。
(詳細は来月発売の『b*p』にて)

しかしそれよりも驚いたのが、「江国香織」熱です。
もしかしたら村上春樹を上回るか? という印象を抱きました。
『冷静と情熱のあいだ』で火がついたそうです。

「江国香織の何がいいの?」
と本音から出た言葉で質問してみると、
「簡単だから」
との答え。

韓国の小説は歴史モノや学生運動のころのモノが多いそうで、どれも教訓めいているとか。
だから村上春樹の作品のように、隠喩的で、個人の内部を描くような小説や、江国香織のようにサラサラ読める小説は、彼らにはかなり新鮮だったようです。

あと文学以外で、印象的だった話をもうひとつ。
勤勉さをあらわす話。
韓国では語学学校は朝6時や7時からのクラスが、夜や夕方の部より人気が高く、すぐに埋まるそうな。
「日本では語学学校に行って、途中でやめる人が多いと聞いたけど、こっちでは考えられない」
と、ひとりの女性は、センセーショナルなニュースを初めて聞いたときのような顔で言っていました。




| お仕事 |
いざ行かん、韓国へ〜。
いまから韓国に行ってきます。
急遽、取材が入りまして。
村上春樹は向こうでどのように読まれているか? というテーマ。
熱烈な村上ファンの女性4人にインタビューしてきます。
(なぜ女性ばかりか、という疑問にお答えすると、担当編集者の趣味なのです。ぼくの意思ではないです)
ちょっと事前調査しましたが、いや、すごいですよ、向こうの村上熱。
おもしろそうな取材になりそうです。
焼肉も食いまくってきます。

それと、お知らせが1点。
小学館のアウトドア雑誌『ビーパル』のぼくの連載エッセイ『リアル旅人図鑑』は、大人事情で今月はお休みです。
来月号からは従来通り掲載されますので、引き続き、ご一読いただければ幸いです。
ご連絡が遅くなってスミマセン!


ちなみに最近とくに話題を振りまいている村上春樹ですが、やはりぼくもハマった時期があります。
しかし、『海辺のカフカ』を読んで、ああ、自分は村上信者にはなれないな、と思ってパッタリ読まなくなりました。
だけどまあ、こういう取材だし、久しぶりに読んでみるか、とまだ未読の『国境の南、太陽の西』を購入。さっき読み始めたら……。これ読んどるやん……。
(あるよなあ、こういうこと。あるある!)




 
| お仕事 |
深夜のスーパーで、落涙
 悲しいことがあった。
「生みそずい」というインスタントみそ汁がある。
この商品はインスタントなのに、「化学調味料無添加」である。
(実際、非常にすっきりしていて、澄んだ味だ)
その志の高さに胸を打たれ、急場用として、つねに我が家に常備していた。
そのパッケージがいまも手元にあるので、原材料名のダシに相当する部分を見てみる。

鰹節粉末
鰹エキスパウダー
煮干粉末
昆布粉末
etc

見よ、この必死の企業努力を。
「調味料(アミノ酸等)」を削るために、いろんな天然素材を配合し、「あさげ」や「ゆうげ」に対抗しているのだ。

ところが、である。
昨日、西友に買いにいったら、「生みそずい」のパッケージから「化学調味料無添加」の大文字が消えているではないか。
魚が餌にとびつくようなスピードでそれを手に取り、裏返して、原材料名を見てみると……。

魚介エキス
鰹節粉末
砂糖
調味料(アミノ酸等)



「コスト削減、効率重視」の波にもまれて、志は断たれ、妥協が豚インフルエンザのように社内に広がったのだろう。
(しかし興味深いのは、化学調味料が入ると砂糖も入ることだ。化学調味料無添加のほうには砂糖は入っていない)

旭松さん。
この落胆を感じている人は、推定100万人はいると思います。
ぜひとも、旧商品の復活を!



と書いてから、旭松のHPを見てみると、「無添加」の生みそずいもちゃんと残っているではないか!
つまり、旭松は化学調味料「あり」と「なし」、2タイプの商品を取り揃えていたのだ。
ということは、スーパーの西友が勝手に商品を入れ替え、化学調味料「あり」のほうを採用したということだ。
こら!西友!旭松さんの志を買わんかい!

……と、ブログ記事としてはグダグダになってしまったが、せっかく書いたのでアップします。
みなさま、筆者とともに一喜一憂、落涙哄笑してください。

ちゃんと残っていた、良心の結晶↓ 











| 生活 |
さらなる連鎖反応
前回のブログに、こんなことを書いた。

ある雑誌の連載記事に、笛吹きの想くんのことを書いた。
するとその日に、インドにいる想くんから手紙が届いた。
こんな風に“引き合う”ことって、ほんと、不思議とよくある……。

という話を書いて、ブログにアップしたら、間もなく、Nちゃんからメールが届いた。
Nちゃんは元スピードスケート選手で、オリンピック代表にもなりかけた、というすごい女性。ぼくと想くんがパキスタンで初めて会ったとき、Nちゃんもその場にいた。彼女も想くんに負けず劣らずパンチのあるキャラで、帰国後はなぜかエロ漫画をタブロイド紙に描いて糊口をしのいでいた(その漫画がまた傑作!)。
で、想くん、Nちゃん、ぼく、それともうひとりの変態、という4人でパキスタンの山奥で何をしたかというと、UFOを呼んだ。なぜそういう行動に出たか、どんな風に呼んだか、といったことは機が熟したときにまた話したいと思うが、結果だけを書くと、UFOは来なかった。

ま、そういう濃い時間をともに過ごしたNちゃんから、想くんのことをブログに書いたとたんに、こんなメールが届いた。

《なんか今朝突然、ゆうすけさんのことがとても気になり、ブログを久々に見てみたら、想くんの話でしたね〜》

また笑ってしまった。
ほんとつながるよなあ。しかし、想くんだけに、そういうエネルギーも強いのかな、なんて思いながら、夜、帰宅すると、想くんのぶっ飛び母さんのユミコから手紙がふらりと届いていた。
うーん、なんなんだろうか……?


写真は、ぼくたちが出会ったパキスタン北部、フンザにある山





| 生活 |
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