石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


※親サイトの『7年半ぶっ通しチャリ世界一周』はパソコンを新しくしたためにストップしたままです。
近況報告や各種案内は、もうしばらく、当ブログにて行います。
年賀状

ふう。
いまやっと年賀状書き終えました。
今年は届くのが遅くなると思いますが、あしからず。

毎年面倒だけど、僕は年賀状好きですね。
疎遠になっている人のことを、「今では年賀状の付き合いだけで…」と、多少の含羞を込めて話す、といった会話パターンがありますが、そんなつながりでも結構なことだと思います。だってこれまで関わってきた人全員とコンスタントに会うのは土台無理な話ですから。

オッサンになると時間の流れがどんどん早くなってきて、1年なんてあっという間。友だちと会って話すと、「あれ? 前回会ったのってもう3年前か?」と驚いてしまう、なんてこともたびたび。1年に一度便りを出すだけでも、僕は意味のあることだと思います。
それに、年賀状に一言書くだけでも、その人のことを思い浮かべながら、「あー、あいつ何してるのかな?」なんて考えながら書くわけで、実際会えなくても、相手のことを頭に浮かべる、その一瞬が大事なんじゃないかと。一斉送信の年賀メールも、相手のことを想像するとは思いますが、手を使って一字一字書くのとでは、やはりどうしても思いの濃さが違ってくるような気がします。

今年は年賀状を書いていて、上記のようなことをとくに強く思いました。なんでもかんでも震災と結びつけるのはどうかとも思うのですが、でもやっぱり、あの震災によって人とのつながりをあらためて考えさせられたからかもしれません。

今年もあと8時間。
みなさんにとって、来年がよい年でありますように。




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帰省&トークの御礼

今日、南紀白浜の実家に帰ってきました。
で、早速、近所にある世界一の温泉(石田調べ)「長生の湯」へ。
落語を読んだり、なぜか今紅葉しているモミジを眺めたりしながら、露天風呂にたっぷり入湯。やっぱりいい湯だなあ。

さて、昨日とおとといの2日間、大阪でトークライブしてきました。
お越しくださったみなさん、ありがとうございました。
昨日のライブには大学時代の同期の女性がサプライズ来場。
20年ぶりの再会だったけど、びっくりするぐらい昔と変わっていなかったので、すぐにわかりました。いやあ、うれしかったな。
Tさん、あのきんつば、めっちゃうまかったわ。ありがとうー。


| 生活 |
フリーランスはつらいよ

言わずもがな、だけど、フリーランスの長所は「自由」で、短所は「不安定」、といったところ。
で、会社員の長所は「安定」で、短所は「窮屈」か。
僕はその両方を経験し、その長短を身をもって痛感しているつもりなんだけど、そのうえで考えるに、自分はやっぱりフリーランスが向いているのかな、と思う。サラリーマン時代も楽しかったが、今あの日々を思うと、なんだか不思議になる。スーツを着て走り回っていたあの時間は、本当に自分の過去にあったんだろうか、と。
もっとも、自転車世界一周の日々も同じように、自分の過去にあったということが、ちょっと信じられないんだけど。

閑話休題。ま、そういうわけで(どういうわけだ?)、自分はフリーが好きなんだけど、ただ日本はフリーランスには生きにくい社会だなあ、と思う。
その理由のひとつをあげると、国民健康保険の保険料。ええ、具体的な話です。

ざっくり言えば、われわれフリーランスの保険料は会社員の2倍だ(会社員の場合は会社が50%負担するから)。正直、憂鬱になるぐらいの額が毎月請求される。だから、というわけでもないのだが、毎日のいろいろに追われてついつい振込作業を怠けていたら、ある日、いつもとは色の違う封筒が送られてきた。開けてみると、「最終通告」といった体の文書で、「保険料を振り込まないと口座を差し押さえますよ」と書かれている。
はは、まさかな、いくら国家権力でもそこまではしないだろ、単なる脅しや、と思いつつ、基本的にチキンの僕は内心慌てふためき、すぐに銀行に走って所定の額を振り込んだ。

しかしこの通告に真っ向から立ち向かった漢がいる。
仮に僕の隣人Yとしておこう。
あくまでも仮の話である。

Yはフリーカメラマンで、ときに変態映画も撮ったりしているのだが、彼も仕事が忙しいという理由で保険料を振り込んでいなかった。するとやはり同じように「最終通告」が届いた(正確に言うと、ちょっとした手違いで僕の元に届き、僕も気づかずに開封、のち、大爆笑、そのあとでYに渡した、という流れだったのだけど)。
しかし漢の中の漢であるYはその「最終通告」も無視した。
それから2、3ヵ月たったころ、出張で大阪にいる僕に、Yからこんなメールが届いた。
「先日の健康保険の件、ほっといたら、なんと今朝、本当に口座差し押さえられました! ファック!」

僕はふたたび爆笑しながら、一方で「本当にやりやがった!」と心底驚いた。そしてその動揺が落ち着いてくるにしたがって、今度はじわじわと反体制の血がたぎりはじめたのである。
会社員を優遇しながら、フリーランスには厳しい条件をつきつけ、あまつさえ個人の口座を差し押さえるなんて。これが横暴でなくてなんだというのだ! この国家は独創的仕事をひねりつぶす体制をいまだにとっているのだ! 諸君! ゲバ棒を持って立ち上がれ! まずは警察襲撃だ! 武器を奪ったのち山に立てこもり、総括する! 

……ん? なんか間違っていますかね?

いやでもほんと、フリーランスのみなさん、気を付けましょうね。保険料は国民の義務です。

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図抜けて陽気な人たち

昨日はアウトドア雑誌『BE−PAL』の取材で旅人のKさんにインタビューをしたのだが、そこでおもしろい符号を見た。
僕は拙著『いちばん危険なトイレといちばんの星空』で、世界一陽気な人たち、としてセルビア人をあげた。これはもちろん、個人的な経験からくる僕の独断でしかないのだが、Kさんも世界のあちこちを旅して同じ印象を抱いたというのである。そして彼女はこんな話をしてくれた。セルビア人の友人はNATO軍の空爆が始まったとき、明日の命がわからないから、ということで毎晩パーティーをしていたというのである。

いやはや。
発想としてわからなくはないけれど、でもなんというか、思考の出発点から違う、という感じがする。
で、僕はやっぱりそんな彼らが好きなんだよな。




| 生活 |
クリスマス謎かけ

なぞかけでもしましょうか。
お題はクリスマス。

はい。
整いました。

オッサンひとりのクリスマスの食卓とかけまして、今の日本や欧米と解く。
その心は?

どちらもケーキ(景気)が上がらないでしょう。

ぜんぜんおあとがよろしくないようで。

| 社会 |
テーマソングが頭から離れない。

先日、太田裕美の実家を見つけるというミッション・インポッシブルを完遂した私だが、今日は(もう昨日だが)トム・クルーズのミッションを観てきた。
私のヒロミ・ミッションと比べれば、トムのそれはたいしたことのない任務だったが、いや、おもしろかった。高いところが好きだからよけいに。

で、そのあと、紙の原稿に施した校正を15分でパソコンに打ち込む、というとてつもないミッションが私に課せられていた。気分は完全にトムである。脳内にはあのテーマソング。チャッチャッチャチャッチャッチャ。爆煙の中を走るトムと、パソコンを超高速で打つ自分が完全にシンクロし、ときどき爆風によろけながら私はなおもキーを連打、そうしてできあがった原稿を送るとき、私はサラサラな髪をなびかせ(本当はクセ毛だけど)、こう叫びながらキーをたたいたのである。
「ミッション完了!」

チャッチャッチャ、チャッチャチャ、チャッチャッチャ。

ではこれから歯磨きというミッションにとりかかる。
ちなみに今日はすでに6つのミッションをこなしている。

| 映画 |
魔法のピザ

グルメ雑誌「dancyu」にナポリピッツアの記事を書くことになったので、中目黒にある「ダイーサ」に行ってきた。世界ピザ選手権で3度も優勝した山本氏の店だ。この店を記事にするわけじゃないが、東京でも一二を争う店の味を一度は舌にのせておこう、ということで。

拙著『洗面器でヤギごはん』にナポリのピザに恍惚となるシーンを書いたが、あの感動を求めて日本でもナポリピッツアを食べまくっている。最近では薪釜を備えた店も増え、あちこちでうまいピザが出されるようになった。日本のピザ界は一昔前と比べると隔世の感がある。
しかし、ナポリの名店「ダミケーレ」で食べたときの衝撃に並ぶピザにはまだ出会っていない。

なんでも現地で食べるのが一番、というが、やっぱりそうなのだろうと思う。気候と風土が料理を生む。おいしい、という一点に向かって、長い時間と冒険と失敗と研磨を経て、完成されていく。だからその土地の素材を使った料理を、その土地の気候風土の中で食べてこそ、「形」になる。旅をしてなおさらそう思った。もちろん例外もたくさんあるけれど、ナポリのピザやアイルランドのギネスのうまさは、なんだか魔法のようだった。

で、今回行った中目黒の「ダイーサ」。
じつにうまかった。
モチモチした香ばしいクラスト、フレッシュなトマトソース、なめらかなコクのあるモッツアレラチーズ、素材もバランスも素晴らしい。

しかし……。
なんだろう?
ナポリで食べたピザのうまさは、その土地で食べる、というのに加え、自転車で旅をして腹が減っているという要因も大きかったのだろうか。あるいは思い出が過剰に美化されているだけなのだろうか。
とにかく、あの超絶したうまさには今回のダイーサもまだ及ばない。

ダンチュウでは九州まで足をのばす予定。すごい店があるらしい。
「今まであたしが悪うござんした」とひれ伏すようなヤツを期待したいものだ。って、なんか俺エラそうだけど。

| グルメ |
電車があるのにタクシーで帰る

昨日は元会社員時代の仲間と忘年会。オッサン7人で。
20年ぶりぐらいに会うヤツもいて、ワイワイガヤガヤ、下ネタ談義&店員のお姉ちゃんにからみ、とイヤな客100%な感じになった。
で、3次会は桂花ラーメンと、やはり昔の仲間に会うと昔に戻る。しかし体はオッサンなので、最後のラーメンは完全に余計だった。ウップ。おえ。

ところで7人のうち、元の会社に残っているのは3人だけで、あとはいろいろだ。中には羽振りのいいご身分になったヤツもいた。で、そのひとりのHが、このご時世でタクシーチケット使い放題というナメたヤツで、でもそいつの家が中野なので、僕はそのナメた身分にのっかった。つまりタクシーに同乗した。僕の住む阿佐ヶ谷は、Hの住む中野の2つ駅向こうなのだ。

時間は0時前ぐらいだったか。
阿佐ヶ谷方面の中央線はまだまだ走っている時間である(最終は1時台)。にもかかわらず、タクシーで帰る。これをぜいたくといわずしてなんと言おう。マグロの大トロを炭火であぶって食べるようなものである。僕は貴族階級にのしあがった気分で、駅へ流れていく人の波を横目に、タクシーの心地よいエンジンの微動に体を任せた。

中野に着くと、Hは僕にタクシーチケットを渡し、「じゃ、お先」とおりていった。
そのチケットを見ると、「1万円までOK」と書かれている。僕はさらなるぜいたくを味わうために、八王子などを経由して1万円を使い切ったうえで阿佐ヶ谷に帰ろうかとも思ったが、眠かったのでやめた。まっすぐ阿佐ヶ谷の自宅に向かってもらった。

間もなくして家に着いたのだが、朝の食パンが切れていることを思い出した。だからそのまま西友まで走ってもらうことにした。なにせ貴族である。家から西友まで5分で歩ける距離だが、吾輩はどこまでもタクシーを使うのである。

で、西友に着いて、私はタクシーチケットを出した。するってえと、運転手はこんなことをのたまった。
「お客さん、このチケット使えませんや。ウチのタクシーとは提携していないんで」
「………」

4400円、自腹……。
楽勝で電車で150円で帰れたのに……。

てめえ、こらH!


| 生活 |
奇跡の酒

12月29日(木)に今年最後のトークを大阪の東急ハンズ心斎橋店でやります。
その詳細は最後に書くとして、まずは記しておきたい話から。


昨日は、先日結婚したばかりのリーくん夫妻を我ら阿佐ヶ谷チームに迎え、結婚祝い&年忘れのホームパーティをやった。
それの声かけの際、僕はこんなことを書いた。
「姿勢を正して飲むべき酒を持っていくので、期待して」

で、いつものごとく、みんなは僕の言葉を真に受けていなかったのだが、利きビール大会や「ほんとにあった超ド級の下ネタ話」などをやって宴もたけなわになってきたころ、僕はその酒をカバンから取り出した。
これだ。



ラベルをアップにすると、



「津波から生き残った
奇跡の酒」

と書かれている。
岩手県宮古市の菱屋酒造店の酒だ。
今回の震災で酒蔵は壊滅的な被害を受けたらしい。
20基あった貯蔵タンクの大半が流れ、中には北海道の釧路まで流れ着いたものものあったそうだ。そんな中、流されずに残った貯蔵タンクの中の成分を検査したところ、1基のタンクだけは海水が入っていなかった。それがこの「奇跡の酒」である。

このお酒は岩手県に住むAさんが送ってくれたものだ。
今年2月に岩手県の久慈でやったトークライブに、Aさんは来てくれた。その際、Aさんはお兄さんにプレゼントするために僕のサイン本を購入してくれた。
ところが、3月11日の震災で、Aさんもお兄さんも無事だったものの、お兄さんの家が津波に流されたらしい。僕の本もろとも。

その話を、久慈の友人から聞き、僕はAさんにもう一度本にサインをして、送ったのである。

僕のやったことは当たり前のことである。
そのお返しとしてはあまりにも重いお酒だ、と思った。
だから、ひとりで飲む気には到底なれず、昨日の会まで我慢していたのである。

という話をしたところ、それまでの乱痴気騒ぎが静まり、みんな本当に姿勢を正した。そしてグラスを一度洗い、それにこの酒を注いで、あらためて乾杯した。
その味は……僕の語彙ではとても表現できない。けれども力不足を認識しつつ書いてみれば、深みがあって、澄明で、力強さもあるのに、喉にスルスルと入っていく。そして、熱が胸に広がっていくように、次の言葉が、重く、痺れるように、体の底から響いてくるのである。よくぞ耐えた、よくぞ残った、と。

そうしてみんな嘆息をつきながら飲み続け、1升のお酒が本当にあっという間になくなった(ま、8人で飲んだからというのもあるけど)。

余談になるが、酒を注いでいるとき、下戸のツヨシが、「僕も、ちょっとだけ。大さじ1杯ぐらい」とグラスを出してきた。注いでやると、ツヨシなりに、ちびちびと飲んでいた。それが僕は嬉しかった。

もっと余談になるが、ツヨシはパウンドケーキなどを焼いて持ってきていた。変態の味がしないかとおそるおそる食べてみたがこれがじつにうまかった。

というわけで、なんだかいい忘年会でした。
美味しい料理と部屋を提供しくれたゴウくん、そして貴重きわまりないお酒を送ってくださったAさん、本当にありがとう。


(珍しく花のある座となっているが、ひとりはリーくんの嫁のリエちゃんで、ひとりはこの写真のシャッターを押している人のよき人。だから僕たちブ男衆にはなんのエキサイティングな展開もない)


以下、大阪のトークライブ情報。

「石田ゆうすけプレゼンツ・世界の超おすすめスポット」
卒業旅行シーズンに向けて、僕が個人的に「いい!」と思った場所をスライドを使って紹介します(だからいつものトークとはちょっと趣が異なります)。

■日時: 12月29日(木) 14:00時〜15:00 (13:50開場)
■会場: 東急ハンズ心斎橋店 B1F 喜久屋書店
■定員: 30名
■参加費: 無料
■お申込み: 現在、喜久屋書店のレジカウンターで整理券を配布しています。先着30名。

詳細はこちら→東急ハンズ心斎橋店イベント情報

整理券は先着30名様までですが、お店の売り場でやるため、立ち見でしたらお好きなところから見ていただけるかと思います(混み具合によるので、早めに来ていただいたほうがいいと思いますが)。12月28日の亜州食堂「チョウク」でのトークライブにもれた方。その日の翌日ですので、ご検討してみてください。もっとも、やる内容は違いますが。

| 生活 |
ヒロミ・ミッション

埼玉一周から帰ってきました。
いや、やにこー(南紀弁で非常に)おもろかった!
正直申しますと、今回は記事が書けるかどうかちょっと不安でした。通常1回の取材で2号分書くんですが、今回は2号分のネタを拾えるのかな、と。埼玉の方には申し訳ないのですが、インパクトのあるものが同県には少ないように思えたから。

でも旅のおもしろさって、やっぱり観光とは別のところにありますね。僕がおもしろいと感じるのは、人との出会いは言わずもがな、それ以外では人の営みが見える何気ない風景や、自然のバランスが見える細微な風景。つまり心の琴線に触れる何か。見られることを前提にした観光地より(そっちも好きなんだけど)、ごく普通の、そこにある光景。そして、そのありふれた光景に、ふいに点じられる微妙な一点。心に何かを灯らせる一点。この積わらを積んだじいさんはどんな人生を送ってきたのだろう、とか。そういう、ふいにわきあがる何か。それらを呼ぶ光景。

ま、旅の内容は記事でお伝えすることにして、ここには記事には書かないであろう、ひとつのことを。

昨日は春日部に泊まりました。
そこで旅を終えて帰ってもよかったのですが、この町には大きなミッションがありました。
春日部といえば、そう、太田裕美!
何を隠そう、僕はヒロミストなんです。って、これまでにも散々書いてきましたけどね。彼女から「私を連れて逃げて」と懇願されれば、彼女の気が変わらないうちにすぐに行動に移すでしょう。

で、彼女、いや、裕美と呼ばしてもらいましょう。裕美の実家が春日部で寿司屋をやっているというのは国民の誰もが知るところだと思いますが、さすがにこの寿司屋は今はない様子。
でもその名残が何かないだろうか。あれば見たい。匂いを嗅ぎたい。裕美が歩いたであろうアスファルトに頬をこすりつけたい。本当は踏まれたい! と至極正常な思考のもと、聞き込みを開始。するってえと、最初に入ったボロい、あ、いや、歴史を感じさせる自転車屋さんのオヤジが、「いまは寿司屋はないねえ。すぐそこの踏切の角にあったんだけどね。でも工場ならあるよ。そこの四つ角を……」などと言うではありませんか。まさに青天の霹靂、先頭打者初球ホームランって感じ!

あ、ここで解説しておくと、裕美の御父上は、じつは寿司職人でもなんでもなく、寿司屋を経営されていただけでで、本職は町工場の経営者さんなのです。
でもその工場に関する情報は皆無だったし、このご時世で存続しているかどうかもわからなかったので、調査対象からは外していました。
なのにこの展開! 裕美城の本丸がいきなり包囲網に引っかかるなんて!

で、私は鼻息荒く、自転車店のオヤジさん情報に沿って進んでいくと、工場らしきものが現われました。うおっ、と鼻血が出そうになたのですが、しかし、オヤジさんから聞いたのとは違うモダンな名前がついています。そこで私は工場の敷地内でフォークリフトにのっていたおじさんを捕まえ、「ここは太田裕美さんのお父さんの工場ですか?」と聞いてみました。
するとおじさんは怪訝な顔で、
「……そうだけど、何?」
私は慌てて、「いや、ファンなんです(お父さんの、ではなく、裕美の)」と言いつつ、変態に思われてはいけないと思い、自分にできうる最大限のさわやかスマイルを浮かべました。するとおじさんも表情をゆるめ、
「実家はこの裏だよ」
と、とんでもないことを言うではないかあああ!
私は最敬礼をし、きびすを返すとマッハ6で工場の裏へ。
すると瓦屋根の素敵な家が現われ、表札を見ると、「太田○」とかねてより存じ上げている御父上の名前が出ているのでああああああある!

私は7mばかり後方からその家を見つめ、手をはらはらと振ってまわりの空気を鼻に集めて匂いを嗅ぎ、そして、ふたたび最敬礼したのであった。
あのミラクルボイスをこの世に与えてくれて、ありがとうございました、と。

それにしても、時間にしてわずか10分程度で裕美の実家までたどり着くなんて、吾輩はトムクルーズばりにデキる男ですね。
チャッチャッチャッチャチャチャチャ(各自ミッションインポッシブルのテーマソングで)


| 生活 |
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食の雑誌「dancyu」のウェブサイトに「世界の〇〇〜記憶に残る異国の一皿〜」というアホな記事を書いています。→https://dancyu.jp/series/ikokunohitosara/index.html
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