石田ゆうすけのエッセイ蔵

旅作家&エッセイスト、石田ゆうすけのブログです。


※親サイトの『7年半ぶっ通しチャリ世界一周』はパソコンを新しくしたためにストップしたままです。
近況報告や各種案内は、もうしばらく、当ブログにて行います。
『ライフ・オブ・パイ』!!!

引きこもって原稿を書いていたら、
頭が煮詰まってきたので、
気分転換に『ライフ・オブ・パイ』を観にいった。
虎とともに少年が227日漂流するという映画だ。
結論から先に書くと、超すげー!(物書き失格!)

監督のアン・リーがこの映画でアカデミー監督賞をとったが、
仮にこれが作品賞をとっていたとしても、
『アルゴ』のベン・アフレックは
納得したんじゃないかと思ってしまった。
少々哲学的なので、観る人を選ぶ映画だろうが、
しかしアン・リーはぎりぎりのところで
至上のエンターテイメントに仕立て上げたように思う。
とはいえこの映画は深読みしないとおもしろくない。
単なる漂流ものとしても観ることはできるが、
そうではない。

各シークエンスはすべて必然であり、
意味が込められている。
すべて観終わったときに
それらがわかる仕組みになっている。
だからもう一度観ると、
まったく違った映画に見えてくるに違いない。
ということで、時間ができればもう一度観にいくかも(笑)。

原作が文学に与えられる最高の栄誉のひとつ、
ブッカ―賞をとったというのも大いに納得である。
そしてこの深遠な物語が、
みごとに映像で表現されてしまうのだから本当にすごい。
正直言って、昨今のCGありきの映画作りが
まったく好きになれないのだが、
今回は初めて今の技術に感謝したい気持ちになった。
20年前ならこの物語は絶対に映像化できなかっただろう。
空との境目がない鏡のような海など、
どうやって撮ることができよう。
そしてその幻想的な映像が、
この映画ではとても重要なのだ。意味的に。

長い旅をしたことがある人なら、
とくにおすすめである。
体で感じるものが、おそらくあると思う。

うーん、こうやって書いていると、
つぎつぎにいろんな思いが溢れ出してくる。
生涯ベスト10の映画に入ったかも
(あくまでも個人的な好みである)。

ところで、この映画は監督賞以外に
撮影賞や視覚効果賞にも選ばれている。
(あと作曲賞も)
その最高の映像を楽しもうと、
ユナイテッド・シネマ豊島園」というところで観た。
ここには最高技術の「アイマックスシアター」がある。
音も映像もふつうの劇場とはレベルが違う。
さらにここには「ウィンブルシート」なる
震えるシートまであるのだ
(自販機で200円でコインを買い、
シートの投入口に入れる必要あり)。
いや、これマジ強烈。
漂流をほんとに体感できるし、
虎の唸り声とか、
いちいち体がビクッとなって、
めっちゃ怖いです。
こちらは1日1回の上映(16:10〜)。
3月7日まで。

いずれにしてもこの映画、
もうすぐ公開が終わると思うので、
興味のある人はお急ぎあれ〜!

いやあ、今シーズンは映画が豊作だなあ。


| 映画 |
どっちが主役!?

アカデミー賞の最優秀作品賞に
『アルゴ』が選ばれたさい、
監督のベン・アフレックが
いいスピーチをしたようだ。
「私を助けても何の得にもならないときに
助けてくれた人たちに感謝しています」
と。
そのスピーチの模様を見ようと、
テレビのワイドショーをハシゴしたのだが、
見ているうちに
頭の上に「?」が3、4個並んでしまった。

助演女優賞をとったアン・ハサウェイが
涙ながらに歌う『レ・ミゼラブル』の
名シーンばかり流れるのである。
ある番組などは、
作品賞→監督賞→主演女優賞
と実際のアカデミー賞の授与式とは逆の順で紹介し、
「助演女優賞」と「録音賞」をとった『レ・ミゼラブル』を
最後にドーンと出して、
「このミュージカル映画は革新的な撮影手法で…」
と詳しく説明する始末。
どっちが栄冠に輝いたんや! 
と突っ込みたくなってしまった。
最初からレミゼありきの構成やないかい! 

ま、『レ・ミゼラブル』は大ヒットしているし、
実際いい映画だったし、
アン・ハサウェイのあのシーンは
何度も見ても泣けるけど、
でもちょっとねえ……。

結局ベン・アフレックのスピーチも、
彼が異様に興奮して
いろいろわめいているシーンが流れるばかりで、
肝心なところは聞けずじまい。
日本のテレビの編集の方々……
なんか『アルゴ』に恨みでもあるのか〜!(涙)

あ、でももちろん、
『アルゴ』も各シーンを流して
紹介されていましたけどね。
でもあの映画はどのシーンを
切り取っても地味なんだよなあ。
(全体を通して見ると、
ものすごい映画なんだけど)


| 映画 |
アルゴ来たあああっ!

き、き、来たあああああっ!
『アルゴ』がアカデミー最優秀作品賞受賞!
監督賞にノミネートされなかった時点で
厳しいかな、と思っていたんだけど、
いや、とりよった! うほ! とりよった!

あ、なぜここまで興奮しているかというと、
この映画のモデルになった
マーク&コーラ夫妻に世話になったから。
(映画のラストにも彼らの写真が出ている)
この話の詳細はこちら

彼らの映画ができる、という話を聞いたときは、
へえ、と感心しつつも、
ま、アメリカだけで上映される小さな作品だろうと思ったし、
日本に配給されると聞いたときもさほど期待せず、
友人のよしみ、って感じで観にいったんだけど、
そのおもしろさに驚愕!
しかし、まさかアカデミー賞をとるとは!
嬉しすぎて仕事できーん!
コーラさんたちにメールしようっと。
メール殺到しているだろうけど。

というわけで、おそらくこれから各地で
リバイバル上映されるかと思います。
3月にDVDが発売されるそうだけど、
この映画はぜひぜひ映画館で!
あの緊迫感は絶対映画館向けです!
ちょっとないぐらいの傑作なのでぜひ!

あ、あと映画を観たあとでもいいので、
こちらもよかったら読んでみてください→こちら
当ブログの過去の記事です。
僭越ですが。

あ、いま調べたら現時点でも
各地で上映されていました→こちら

| 映画 |
越後平野の絶景

越後平野を見るのがいつも楽しみである。
東京から新幹線で新潟に向かえば、
長岡か燕三条を越えたあたりから、
サーッとその平野が広がるのだが、
その雄大さがすごい。
日本じゃちょっと珍しい。
北海道ともまた違う。
一面水田だから、まさに水を張ったように平らで、
それが延々と続き、その先に山が並んでいる。
バカでかいカルデラ湖のようである。
新幹線から見ると、空を飛んでいるような気分になる。

で、今回も東京から新潟へ移動中、
ワクワクしながら車窓を見ていると、
「!!!」
大雪原になっているのだ。
ちょうど雪も激しく降っていた。
その広大な雪原のなかを、
数人の人が一列になって
蟻のように歩いているのである。
「うわ、シベリアや…」
と思ってしまったのだった。

この下の写真は帰りに撮ったもの。
晴れて、雪もだいぶ解けてしまったのか、
あまりシベリアっぽくないけど。


ところでK夫婦。
講演に来てくれてありがとう!
いや、うれしかった!
ほんと、東京出張のときなど、
時間ができたら連絡ください。
うまい焼き鳥屋案内しまっせ。
ピッツァも試してみますか?(笑)

あと、伊豆大島で会ったHさん。
書き込みありがとうございます!
そう。寿し光。絶対に行くつもりだったのに、
1軒目に寄った居酒屋でつかまって、
結局行けず…。残念!
『サイクルスポーツ』お楽しみに!
(まだ掲載確定じゃないですが・苦笑)


| 生活 |
新潟の老舗ホテル

昨日は新潟で講演。
国際交流というテーマで話してきました。
雪も降ってきて、
どうなることかと思いましたが、
主催である新潟JCの方たちのご努力もあって、
たくさんの方にお越しいただきました。
ありがとうございました。

いまはイタリア軒という老舗ホテルで
これを書いています。
イタリア軒といえば、
太宰治が書いていたような…。
と思って調べたら、やっぱりそうでした。
ホテルの前身が西洋料理店で、
これはちょっとした歴史あり、です。
(以下、ホテルでいただいた資料から)
ときは明治7年。
外国人のサーカス団のコックが
興行先の新潟で大けがをして、
一団から捨てられたそうな。
そのコックが新潟に残って、
始めたのがイタリア軒だそうです。
日本で最初の「本格西洋レストラン」だとか。

で、太宰も新潟に講演でやってきて、
そのあと、このイタリア軒に来て、
学生たちと食事をしているのです。
今回の僕の行程と、ちょこっと重なりました。
けっこう嬉しかったりします(笑)。

で、ホテルですが、いいですね。
どれだけモダンなシティホテルでも、
時間の蓄積がもたらす
安堵感には勝てません。


それにしても薄型テレビって、
無粋なデザインですね。
こう並べると。



| 生活 |
阿佐ヶ谷でインド会

マニアが作るインドカレーを食べながら、
インドにまつわるトーク(ならびにスライドショー)
をする、というイベントが
東京の阿佐ヶ谷で定期的におこなわれている。
「印度百景」という。
それにゲストとして誘われた。

「え? 僕、そんなインドマニアじゃないですよ」
「いいですいいです」

インドの写真を50枚ぐらい映してほしい、
とのことなので、早速写真の山を
ひっくり返して探してみたら、
なんと30枚ぐらいしかなかった。
このころはフィルムカメラだったということも、
写真が少ない一因だと思うが、
それにしてもこれは…。

ちなみに、もともと写真に
それほど興味がないせいか、
世界一周の旅全体で見ても、
撮った写真の量はひどく少ない。
7年半の旅でフィルム150本ほど。
つまり1年間に20本。
1ヵ月だと、約1.7本となり
36枚フィルムだから
1ヵ月に60枚ぐらいしか撮らなかったことになる。
1日2枚!
撮影無精っぷりは、旅の後半になるにしたがって
どんどん強くなっていったから、
インドのあたりは極端に写真が少ないのだ。
この国には1ヵ月以上いたんだけど。

「というわけで30枚ぐらいしか写真ないですけど」
「いいですいいです」

というわけで、出演が決まりました。
ま、写真が少ない代わりに、
トークでごまか…いや、がんばります。
自転車旅行という、
インド旅行としては一風変わった
視座からの話ができれば。

もうひとりのゲストは神田サオリさん。
なにやらすごいアーティストさんのようです。

前売り1500円、当日2000円で、
1カレーつき。
でも500円上乗せすれば、
インド料理食べ放題やって! 


印度百景vol.11
3月10日(日)
12時開場 13時開演
会場: 阿佐ヶ谷ロフトA

詳細やチケット購入についてはこちら→こちら

| お知らせ |
焼失

東京の老舗「かんだやぶそば」が
燃えてしまった。
あの古い建物が赤々と燃える
映像を見ていたら無性に悲しくなった。
心の底でほっとできるよい店だった。

築90年の建物が焼けたのである。
関係者の方々の胸の痛みはどれほどだろう?
自分なら、と考えてみた。
世界一周のときの写真
(このときは全部フィルム)
が火事で焼失してしまうようなものだろうか。
ああ、それは痛すぎる。
と思ったけど、
でもよくよく考えてみたら、
今回の焼失に比べれば
取るに足らないものだった。

いずれにしても、
けが人が出なかったことが
せめてもの救いでした。
いい形での再建をお祈りします。

| 社会 |
揺れる〜

伊豆大島から帰ってきました。
いや、こういうとアレなんですが、
夜も眠れないほど
期待したわけではなかったのです
(大島のみなさん、すみません…)。
ところがめっちゃよかった!
噴火口も大地層もよかったけど、
何より波浮港に
心を持っていかれました。
家並みに遊郭の名残りが色濃く残っていて、
その残り方がなんとも自然というか…。
島だからヘンに手を付けられずに、
そのまま残っているんでしょうね。
東京から2時間弱(ジェット船)で行ける島が
まさかこんなにディープで、
魅力的だったなんて!
この旅の模様は3月20日発売の
『サイクルスポーツ』に書きますので、
よかったら!

ところで帰りは5時間かけて
フェリーで戻ってきたのですが、
今日はどえらい波で、
船がシーソーみたいに揺れました。
そんな中、原稿の校正なぞを
やったりしたので、
いまもパソコンを打ちながら、
画面が上下に大きく揺れています。
オエ…。
拷問や…。



| 生活 |
伊豆大島へ

明日から伊豆大島へ。
取材で走ってきます。
でも天気がああ…。
ま、3、4日ぐらいいる予定なので、
あさっては大丈夫かな?

| お仕事 |
ぶつぶつぶつぶつ

朝テレビをつけると、衝撃的なニュースが流れた。
オリンピックからレスリングが外れる――。
「なんでやねん!」
朝から何度も叫んでしまった。
(お隣さん、ごめん)

ま、いろいろ憶測はあるようだけど、
ほんと、野球といい、ソフトボールといい、
日本の得意なスポーツが
どんどん削られていくな…。

ロンドン五輪のサッカーで
竹島領土を主張した選手にも、
結局メダル授与が決まったし…。
いや、それ許したらあかんでしょ。
領土問題云々ではなく、
倫理的に。

なんかなあ。IOC…。ぶつぶつ。

コロッケでも食べようっと。

| 社会 |
★新刊が発売されました
『自転車お宝ラーメン紀行』 レトロな路地や古い喫茶店など都内の“お宝”を探索しつつ、昔ながらのラーメンを目指す大冒険(?)紀行です。産業編集センター刊。1100円+税。感想お待ちしています!→yusukeishida@hotmail.com
★dancyuウェブに連載中
食の雑誌「dancyu」のウェブサイトに「世界の〇〇〜記憶に残る異国の一皿〜」というアホな記事を書いています。→https://dancyu.jp/series/ikokunohitosara/index.html
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